本文へ移動
朝日建設株式会社 本社地図
0
5
1
7
9
3

2002年9月

警察官のMVP

 9月18日、富山県警察学校で本年度採用の第57期初任科課程の学生80人に対して講義を行った。
 私が(社)富山県ダンプカー協会の会長をしていた時に付き合いのあった県警の方が、現在警察学校の副校長をされていて、その方から講義をして欲しいと頼まれたのだ。私が今年1月に舟橋村の中学校で富山経済同友会の課外授業を行ったことを知っておられての依頼だった。依頼された講義内容は「警察官の職務倫理」。そこで演題を「警察官のMVP」とした。
 MVPについては、このLEMONの昨年の12月号で、「イチローとMVP、そしてISO」のタイトルで書いた。おさらいをすれば、MVPとは、 Mission  Value  Prideの頭文字で、"使命"、"価値"、"誇り"である。これはアイバックの小沢社長から聞いた言葉で、アメリカ軍の強い部隊では、第一線の兵士のMVPが高い。即ち、与えられた任務をやり遂げようとする気概(使命感)を持ち、何を大切と考えるか(価値観)がシッカリしていて、自身の職務に対する誇りが強いというのである
 このMVPは全ての職業人に求められることだが、警察官にはぜひ聞かせたい話だと思い、講義の演題を「警察官のMVP」としたのだった。
 講義内容は、課外授業で使った日本語や英語を印刷したA3の紙を再利用して、まず日本語や英語の語源を説明しながら「学ぶ」ことや「働く」ことの意義を語り、中盤にこのMVPの話をし、最後に、私が警察にお世話になった最近の事例を話すと言うシナリオを考えた。
 講義日の前夜のNHKテレビ「プロジェクトX」は東陶機器(TOTO)のウォッシュレット開発の物語だった。「おしりだって洗ってほしい」という型破りのキャッチコピーで爆発的に売れたウォッシュレットだが、開発当初は洗浄水の温度が一定しなくて熱湯になった。サーモスタットをIC化することで温度を一定に出来るようになったら、今度は途中でヒーターが切れて冷水になり返品の山。それらの難問を、トイレを快適な空間にするという価値観のもと、何としてでも商品として売り出すという使命感で克服した誇り高き技術者達というふうにピッタリとMVPが当てはまると思いながら番組を見た。そして、講義の中心であるMVPを説明するのにもってこいの最新の話題だと思った。
 講義の当日、また話題を発見した。警察学校の正面玄関横に建っている銅像だ。竹刀を持つ少年の像だが、「まもりの像」という銘であった。講義の中で警察官は誰から何を守るのかを問いかけようと思った。
 水色の制服を着た若い警察官の「起立」、「礼」の気持ちの良い大きな声に迎えられ教壇に立った。そして事前に準備したシナリオ通りに講義を進めた。時間も80分とたっぷりあるので、前列の端の女性から順番に時々英語の質問などを投げかけもした。時折寝る者も数名いたが、皆しっかりノートを取っていた。
 講義の核心のMVPでは、「昨夜のプロジェクトXを見た人は?」と問いかけたが、一人も手を挙げなかった。全寮制の為かとも思ったが、こんな番組に関心を持つには未だ若いのかとも思った。
 「警察官になりたくて入学した訳ではない学生が多い」と講義の前に教官から聞いていたので、警察官の価値観は「まもりの像」に答えがあるとし、「日常生活において、市民の生命、財産を命がけで守ることが警察官の任務であり、それが価値観でなければならない」と強調した。そして、「第57期の学生80人全員が、一人の脱落者も無く立派な警察官になることを願っている」という心からの激励の言葉で講義を終えた。 

TOPへ戻る