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2003年3月

厨房のカウンターの高さを変えた

先月号のこのコラムは「洗面器の高さに学んだ」と題して、「あさひホーム」新築工事でのエピソードを書いた。
 朝日ケアの内定者に「車椅子用の洗面器の高さを60?にすべきか55cmにすべきか」と問題提起し、「洗面器は1箇所ではないのだから、両方の高さの洗面器を取り付ければ良い」との結論に至ったという話であった。今回は、再び高さにまつわる話を書いてみたい。 
 3月10日の月曜日、大阪市生野区にある特別養護老人ホーム「甍(いらか)」を、「朝日ケア」のスタッフ4人と共に訪れた。このホームでは、「あさひホーム」と同じく普通の個人浴槽で利用者の入浴介護をしているし、「あさひホーム」に導入するファンレストテーブル(車椅子用トイレに設置する台)の原型もあるという。「あさひホーム」の介護長を務めることになっている阿部さんの「是非見てきてほしい」という強い奨めによるものだった。
 女性スタッフ二人が入浴介助と食事介助の実習をしている間、男性スタッフ二人と私は、施設長の塩田さんにホーム内を丁寧に案内してもらった。
 1階では、組み合わせ方で色んな形になる台形のテーブルや普通より小さめの椅子、そして浴室を見せてもらった。浴槽はステンレスで、「あさひホーム」の檜の風呂の方が良さそうに思った。壁や廊下の手すりの高さは70cmであった。これは「あさひホーム」も同じである。
 80人の入居者と10人のデイサービス利用者の食事を作る厨房はさすがに大きかった。ここで私の視線が釘付けになったのが食器を出し入れするカウンター。壁に付けてある手すりと同じ高さ、即ち70cmの高さなのである。これは、カウンターの木口にも手すりがついていたから、コンベックスで測らなくても分かったのだ。
 「あさひホーム」ではこれよりずっと高い。それは7日の金曜日に、当社から出向する高野さん、瀬川さんの二人と「あさひホーム」の現場に行った際に、高野さんから「厨房のカウンターがずいぶん高いですね」と言われた。私も、「これでは車椅子の人は自分では食器を戻しにくいだろう」と思った。しかし、既にカウンターはきれいに仕上がっており、「まあ、いまさら仕方がないね」と答えた。
 「甍」を案内してもらいながら、隅々までこだわって設計検討された話に感心し、工事中にも多くのやり直しをされたことを聞いた。昼食を一緒に食べながら改めてカウンターを見て、私はやり直しを決意した。携帯電話で現場代理人である近藤建設の上田さんに「あさひホーム」のカウンターの高さを尋ねたら105cmとの返事。絶対高すぎる。「申し訳ないけれど、70cmに直してください」と指示した。
 翌日の昼に現場を訪れたら、カウンターがはずされ、カウンターの下の壁のボードもはずされ下地が剥き出しになっていた。夕方7時過ぎに再び現場に寄った時には、70cmの高さでカウンターが再び取り付けられていた。やり直してくださった職人さんに申し訳ないと思ったが、思い切ってやり直しの指示をして正解だったと嬉しかった。
 老人介護事業に取り組むに当り私が基本とする考え方は、まず「利用されるお年寄りにとってどうなのか」ということである。それは、設計についても、介護の仕方についても、スタッフの言葉遣いや服装についても全て同じである。そして、計画に取り組み始めてから今日まで何度も迷うことがあったが、この考えに立ち戻れば解決できないことはないと実感してきた。
 「私達の仕事はお年寄りに満足してもらうこと」なのである。
 

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