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2004年4月

あさひホーム開設一周年の感想

 あさひホームがオープンして1年たった。建設業とはまったく違う老人介護事業についての今の感想は、「仕事は楽しいが、経営としては遣り甲斐がない」である。 
 一人ひとり個性や要介護度の違うお年寄りの言動やお年寄りと介護スタッフの関わりの様子、また、訪ねてこられるご家族の話などを見たり聞いたりする中から、あさひホームの運営理念"私たちの仕事は お年寄りに満足してもらうこと。満足を測る物差しのひとつに心からの笑顔がある。この笑顔とは、お年寄りだけではなく、家族も介護スタッフも含んだ皆の笑顔である"が生まれた。そして、笑顔や思いやり、感謝の気持ちなどに満ちたホームの光景は、スタッフが楽しんで仕事をしていなければ絶対に生まれないと思う。この意味で、社長の私もスタッフのおかげで楽しく仕事をしていると言えるのである。
 もちろん笑顔ばかりがあるわけではない。よその施設では断られるような利用者さんを介護するときには、スタッフは大変な思いをしている。でも、そんなお年寄りのお世話ができるということも仕事の遣り甲斐であり、楽しさに昇華できるのではないだろうか。
 また、わたしは三好春樹さんが提唱し実践している「生活リハビリ」という介護の考え方、やり方に共感し、これをあさひホームの介護の基本とすることにして、準備段階からスタッフに話してきた。しかし、オープン当初から数ヶ月間は「生活リハビリ」に反発したり理解できない何人かのスタッフの言動を見聞きし、どうしたものかと悩んだ。しかし、結果的に彼らは辞めていった。残ったスタッフや新たに採用したスタッフは、自習したり介護アドバイザーの青山さんの指導を受けたりしながら、着実に「生活リハビリ」の思想と介護技術を習得しつつある。人事で悩んだのも「自分の親を入れたい、自分も入りたい」と思えるようなホームを作ろうと思うからであり、今では「悩むこともまた楽しい」と多少は思えるようになった。
 当初介護事業を委託する予定であった運営会社の収支計画では、スタッフの三分の一は年収100万円のパートであった。これに疑問を感じて正社員だけでスタートしたが、途中からパートのスタッフを採用した。それぞれに良い個性や才能を持った人たちであり、自分の意思でパートを希望する人もいるというあたり前のことに気づかされた。パート雇用についての自分の考えを改めることができたのも仕事の楽しさと言える。
 さて、「経営としては遣り甲斐がない」というのはこういうことだ。
 事業主体が朝日ケアという民間企業である以上、事業として採算が成り立たなければいけない。もともと大儲けしようという気持ちはないが、赤字が続くようではいずれ倒産し、あさひホームを必要とするお年寄りの介護ができず、また、スタッフを雇用できないことになる。倒産にいたらなくても、スタッフの雇用条件の向上や教育、あるいは建物の改修などにお金をかけられないということになる。至極当たり前のことである。
 あさひホームの収入は利用者さんの利用料金だけであるが、介護保険指定事業所である以上、介護保険適用の利用料金であるサービス料、食事加算、送迎加算、入浴介助加算は、利用者さんの要介護度に応じて国が一律に決めている。だから、あさひホームが目指す「寝たきりにしない・させない。生活習慣を守る。主体性・自主性を引き出す」介護をしても、逆にほったらかしの介護、手抜き介護をしても利用料金は同じなのだ。建物についても言えることで、あさひホームのように、ヒノキの床、ヒノキの風呂、全館床暖房で、広々として明るく快適な環境の建物でも、バラックを改造してベニヤ板で間仕切りしたような建物でも利用料金は同じということである。スタッフの介護技術の研修や雇用条件の改善のためにきちっとお金をかける施設でも、雇用条件が悪く次々にスタッフが辞めていくような施設でも、利用料金は同じなのだ。
 施設もサービスも素晴らしいホテルでは、客はホテルが設定する料金が高くても納得して利用する。でも、介護保険指定事業所ではサービス料金の自由な設定が許されない。良い建物でよい介護をすればするほど利益は出ない。出ないどころか赤字になる可能性が大だ。だから「経営としては遣り甲斐がない」。
 しかし、嘆いていても仕方がない。サービス業はすべて個別対応。利用者お一人おひとりの多様なニーズを汲み取り、それに対応したメニューを工夫し、納得の上で利用してもらい、正当な料金を頂くことでこの問題を解決したいと考えている。この難問にチャレンジするのも経営者として遣り甲斐があることだと、プラス思考することにした。 

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