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朝日建設株式会社 本社地図
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2005年1月

あさひホームで「頭の体操」

 平成15年の4月にあさひホームをオープンしたが、スタート時点の21人のスタッフは全員が正社員であった。この全員正社員には、理由があった。
 平成13年の秋に老人介護事業への参入を決めたが、当初は、別会社を作るものの運営は専門事業者に委託することで計画を進めた。この事業者が提示した収支予算書では、スタッフ数の3分の1を年収100万円のパートでみていた。パートを採用することで人件費を抑え、採算を合わせているのだろうと思った。
 その後事業者の都合から運営も自らで行うことになり、朝日建設からの2人の出向者以外に19人のスタッフを採用した。採用に当たっては、人件費を抑えるためにパートを採用するということはしないで、意識の高い正社員をそろえたいと考えた。これが全員正社員の理由である。
 しかし、実際に事業を始めると、日々の利用者数の変動にあわせて、あるいは時間帯にあわせて必要な時に必要な人数のスタッフを確保するには、正社員だけでは融通が利かないということが分かった。そこでパート採用を始めたら、子育てなど家庭の事情からフルタイムでは働けないけれど、老人介護に対する思いは正社員に負けないほど強い人がたくさんおられることが分かった。私自身の介護事業の勤務実態に対する認識不足とともに、パートタイム労働に対する認識が浅かったと言わざるを得ない。
 こんなことから、今では総数30人のスタッフの内10人がパートである。その中の一人が平成15年10月から勤務しているIさんで、毎週月曜日から金曜日までの5日間、午後だけデイサービスフロアで働いている。このIさんは15年間学習塾でインストラクターとして子ども達に勉強を教えてきたが、昨年の4月からデイサービス利用のお年寄りに「頭の体操」を行っている。
 生徒のお年よりは現在30人ほどだが、男性は3人だけ。Iさんは午後1時に出勤すると、デイフロアで椅子に腰掛けているおばあちゃん達に、「頭の体操しましょうか」と声をかける。4、5名の生徒さんが、入り口近くの勉強コーナーのテーブルに移動し、まず足し算や引き算、掛け算などの算数のプリント5枚に取り組む。氏名と開始時刻を記入し、全問解いたら終了時刻を記入する。そしてIさんがチェック。算数が終了したら「声に出して読みたい日本語」などの音読に移る。一通りの「頭の体操」が終わると次の生徒さん達に交代。こうして、毎日10数名のお年寄りが真剣に頭の体操をしておられる。
 生徒さんにはそれぞれ「頭の体操帳」ファイルがあり、Iさんのコメントが毎回書かれているプリントが2か月分、60枚程溜まったら、自分自身の頑張りに対する表彰状(あさひホームの印が押されている)と共に自宅に持ち帰られる。Tさんはこの表彰状を床の間に飾っているし、Sさんは、息子から「風呂に入って歌を歌っているだけだと思ってたら、勉強してたんか」と褒められたと嬉しそうに報告されたとのこと。
 漢字カードには英語のスペルも書いてあるが、そのスペルを書き写して自宅で書いてきて、「女学校時代に英語を勉強したかったのだけれど出来なかったので」と言ってIさんに見せたというWさんの話、「家では何もすることがない。良いことをしてくださっている」という手紙をIさんに手渡したMさんの話、そして、表情がなかった方に表情が出てきて、他の人のお世話もするようになったという話に感動した。
 私も思ったことだが、Iさんも当初は「子供だまし」の声を心配したそうだ。しかし、誰もそんなことは言われないとのこと。私も、「買い物のお釣りの計算が速くなった」という喜びの声を直接聞き、出来ないことが増えていく不安を、「頭の体操」で積極的に克服されているのだと感じた。
 積極的に楽しみながら学んでいるお年寄りの姿から、学ぶということは、年齢に関係なく、もともと楽しいものなのだと知った。「あさひホームを作ってよかった」という思いをさらに強くすると共に、介護はもとより、頭の体操、音楽、レクリエーション、ドライブなどに優しい眼差しで取り組んでくれるスタッフに感謝している。
 
 

 

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