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2007年9月

ねばちっこい経営

「ねばちっこい経営」とは、9月6日に開催された富山県経営者協会創立60周年記念講演会の講師、遠藤 功さんの著した本(発行所 東洋経済新報社)のタイトルである。
トヨタ、花王、セブンイレブンといった優良企業の事例を挙げての「ねばちっこい経営と現場力」と題した遠藤さんの講演に、そこまでやっているのかと驚き、成る程その通りだと同感した。
講演会に先立って郵送されていた著書「ねばちっこい経営」は、「はじめに」を読んでいただけであったが、講演の翌日から読み進み、一気に読了した。「ねばちっこい」とは茨城の方言で、「粘り強い」「ねばっこい」という意味であり、「粘り強さ」「ねばっこさ」こそが、「並みの企業」と「強い企業」を分ける決定的な要素であると著者は言う。
事例を紹介すれば、花王のアタックは1987年の発売以来今日まで26回の商品改良を重ねており、年間1000件以上のコスト改善策に取り組み、毎年100億円以上のコスト削減効果を、20年にわたって持続的に生み出している。本田技研工業は2010年に小型ビジネス機の量産初号機の初飛行を予定しているが、これは創業者・本田宗一郎氏が1962年に宣言した「飛行機への進出」を、途中で何度も頓挫しかけ風前の灯となりながらも、執念と努力を積み重ねた成果である。デンソーでは、40年にわたって経営と現場が一体となって熱心にQC活動に取り組んでいるが、トヨタグループ全体で見れば、決して珍しいことではない。セブンイレブン本部では、1974年の創業以来、全国に約1500人いるOFC(店舗経営相談員)を全員集めた「FC会議」を毎週火曜日に行っているが、その回数はじつに1500回を超え、そのための出張旅費は年間30億円を超えるという。
翻ってわが社はどうか。昭和58年に始めたQCサークル活動は4年間で終了宣言した。「コンクリート水アバタの上手な補修方法」というQCの理念とはおよそ相反するテーマの出現に、これではやる意味が無いと思ったからだ。今思えば、粘りが足りなかった。2年前に世間の真似をして作った社員証も、発注者から着用を要求される工事部の社員は、役所に行く時には着けているとのことだが、本社の社員は誰も着けておらず、あることすら忘れている社員も多いようだ。一時はマスコミに盛んに取り上げられもした女性技術職社員の採用も、今は途絶えている。
 消えてしまった活動以外にも、目的が忘れられがちな制度もある。私が昭和50年に入社した直後、交通事故の多さから警察に指摘されて週報形式で作った運転日報、社長になるまでは安全運転管理者として全車両の日報を毎週チェックしていたが、今は活用されているのだろうか。
 形を変えながら続いている活動や制度もある。私が入社した翌年から取り組んだコンピュータの利用と導入や職能給を取り入れた賃金体系への変更は、いずれも何度かの大きな変更や改定を経ながら今日に至っている。8年前に認証取得したISO9001は、県内の建設業者では3番目の早さであった。3年前から始めた業務改善提案制度は、今年から一人毎月1件以上の提案を義務付けたことなどで、提案件数が飛躍的に伸びた。これも3年前に導入したCZ式コスト管理は、1年目の工事部全体の勉強から2年目の八町の現場での実践を経て、昨年はコンピュータによる原価管理のオフコンからパソコンへの切り替えを決断し、先月あたりから工事予算も発生原価も工事担当者自身がパソコンに入力し始めている。昨年はユニバーサルデザイン室を作り、介護事業と連携しての建築工事進出へのスタートも切った。しかし、いずれの活動や制度も、「進み方が遅い」とか「どこか違う」と感じながらも、粘っこく対応してきたとは言えないというのが正直な思いだ。
 私の性格は、どちらかといえば粘っこいほうだろう。そうでなければ、社長就任以降16年間、毎月このコラムを書き続けはしないだろうし、社員の子供の誕生日当日、朝6時過ぎに自宅のパソコンからメールを送ることもしないだろう。当社が地域に必要な強い建設会社として生き残るためには、私個人の粘っこさに磨きをかけ、会社全体を粘っこい組織へと体質変換し、全ての活動や制度を実効の上がるものにする事が急務である。「CZを究めた建設会社」、「介護を熟知した建設会社」などのスローガンを、掛け声に終わらせてはいけない。
 

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