朝日建設株式会社
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2013年5月コラム

3+1の旅

 「3+1の旅」と言っても、黒、赤、青の3色のボールペンとシャーペンシルが1本になった「3+1」の筆記用具を持って旅をしたという話ではない。女性3人と男は私1人が4月21日の日曜日に新潟に旅したという話。だから「3+1の旅」。
 この3人の女性は2人が91歳でもう1人が81歳。65歳以上の人のことを高齢者(老人)と定義する国連の世界保健機構(WHO)の高齢者の区分では、66歳の私は65〜74歳までの前期高齢者、81歳のS.Mさんは75〜84歳までの後期高齢者、91歳のS.KさんとK.Kさんは85以上の末期高齢者となる。前期高齢者、後期高齢者、そして末期高齢者とは、英語をそのまま訳したのだろうが、何というデリカシーの無い失礼な言葉だろうか。訳したのは誰なのかと腹が立つ。
財団法人ライフ・プランニング・センターの理事長であり、聖路加国際病院理事長でもある日野原重明先生は、かねてより、半世紀前に国連で定めた「65歳以上を老人」とする捉え方はすでに実態に即しておらず、老人は75歳以上として、自立して生きる新しい老人の姿を「新老人」と名付けた。そして「新老人運動」に賛同する人々の集まりとして、2000年9月に日野原先生を会長に「新老人の会」が発足した。
 2007年に発足し2009年から私が世話人代表を務めている富山支部では、2011年9月9日に、当時99歳の日野原先生を富山にお呼びして講演会を開催した。しかし、現在全国に44ある支部の中で会員数がビリから2番目の弱小富山支部では、そうそう富山で講演会を開催することはできない。そこで、4月21日に新潟支部が新潟市で開催する日野原重明先生101歳講演会「私たちの運命は自分でデザインできる」に参加者を募って出かけることにした。それで「3+1の旅」となったのだが、私にとっては、日野原先生の講演ももちろん良かったが、3人の女性会員との椅子を回し対面にして座ったJR車中やタクシーの中での会話が楽しかった。
 行きの特急はくたかで、K.Kさん(91歳)が、大学ノートを横に半分に切って作った自作のメモ帳を取り出し、そこにはさんであった朝日新聞日曜版に掲載の日野原先生のコラム「101歳・私の証 あるがまゝ行く」の「私の椎骨骨折闘病記」の切抜き(上)(下)2枚を見せてくださった。私は3月の東京での拡大世話人会で、先生が手術され、術後4日目に講演されたことを聞いてはいたが、新聞の切抜きを読んで詳細がよく分かった。K.Kさんは講演会の間ずっとこの特製ノートにメモを取っていたが、帰宅してから読み返して清書するとのこと。メモは取るものの、後から読み返すと何が書いてあるか分からない私のメモを反省した。
またK.Kさんは「私なんか日曜日に家に居たって、こたつに入ってサッカーのテレビを見ているだけ。林さんがお世話してくださったこんな良い機会に4人しか行かないなんて、参加しない人は何を考えているのかしら」と嘆かれた。
 S.Mさん(81歳)は私に、「350年も前に、貝原益軒が現代にも通用する養生訓を書いたのよ」と薦めてくれたのが、「すらすら読める養生訓」(立川昭二 著)で、この本に書いてあることを実践していると言う。同じ著者による「愛と魂の美術館」もお奨めだった。驚いたのは、著者の立川さんに富山の啓翁桜(私には初耳の桜だった)を添えて感想の手紙を出したと言う。
 また、初めて富山で日野原先生の講演を聞いた時にとても感激し、富山空港から東京に帰る先生に花束を渡して飛びついたら、先生に喫茶店に誘われ、出発までの時間いろんな話をさせてもらったというエピソードも披露してもらった。
 私は以前S.Mさんから、8週までの胎児をサポートする「円ブリオ基金」のための1円玉を入れる貯金箱をもらったのでその話をしたら、「自分に出来る社会貢献がしたいからやってるのよ」と言われた。
 新潟に出かける前は、駅で手を引かなければいけないかもしれないと思っていたが、全くの杞憂であった。ただ笑ってしまったのが、K.Kさんは、エスカレーターの上りは大丈夫だが下りは苦手だということ。新幹線で新潟駅に到着してエスカレーターで下りた私は、走って離れた場所の階段に回わり、プラットホームまで上がって、K.Kさんの手を引きながら一緒に階段を下りたことくらいが私の手助けであった。
 新潟駅から会場までのタクシーで、運転手さんが、道を挟んで建っている野球場とサッカー場を案内したら、K.Kさんは「私は野球は好きでないけどサッカーは好き。〇〇(名前を忘れたが有名選手)のボールさばきがいい」と言い、「昨日のアルビレックス新潟と横浜F・マリノスの試合、アルビレックス新潟、負けたがやろ?」と運転手さんに尋ねるのにビックリ。運転手さんは「アルビレックス、1対ゼロで勝ちましたよ」と答えた。また、学校の音楽の先生であったというK.Kさんは、車窓からまだ花が残っている桜の木を見て、「きれいやね」と言って、さくらさくら 弥生の空は 見わたすかぎり♪と歌いだし、他の2人も歌いだす。声を合わせて無邪気に歌う3人に、助手席の私の頬も緩んだ。
 帰りの列車では、91歳のお2人とも一人暮らしなのだが、今でも車を運転していると聞き、またまたビックリ。S.Kさんは運転暦50年。「富山から新潟までは3時間くらいね」と言うので「高速を走るのですか?」と唖然として尋ねたら、「大型車の後ろを走れば、80キロで安心よ」とのたまう。一方K.Kさんが運転免許を取ったのは59歳で、免許を取った動機が、「道路工事現場で作業員が仕事をしているのを見たとき、これは車のために仕事をしているのだ、そうなら、私も車を運転しなければ損だと思った」と話され、開いた口がふさがらなかった。
 K.Kさんからは、中年のおばさんの温泉でのマナーの悪さ、ピアノを教えている子どもには、ピアノを教える前にしつけを教えなければいけないという話も聞いた。
また、3人とも私が車中で「すらすら読める養生訓」を検索するのに使ったスマホに大変興味を示された。
 帰りの新潟駅で、私が「笹だんご」のお奨めの店を紹介したら3人とも買われたが、後日S.Mさんから、とても美味しかったと笹だんごの絵を手描きしたはがきを頂いた。
 「新老人の会」の3つのモットーの内のひとつに、「創(はじ)めること」があるが、それを実践し、こんな風に明るく積極的に生きている3人の「新老人」との日帰り旅行は、新潟支部の事務局長との電話でのやり取り、帰りのJRのきっぷの事前購入、各自に電話で伝えた列車の時刻を間違いの無いようにするための3枚のはがきの作成などの手間や時間は問題にならないほどの収穫を私にもたらしてくれた「3+1の旅」であった。なかなか経験できない旅が出来たことに感謝したい。

日野原重明先生101歳講演会