朝日建設株式会社
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2014年2月

散歩拒否

 私は毎朝5時から1時間ほど、愛犬2匹と散歩している。歩数にして4000歩から5000歩。1匹ずつ、最初は息子のクロスケ(4歳)、次に母親のハナ(6歳)と散歩する。
 このクロスケ、いつもは私が玄関の戸を開けると、玄関の軒の下に置いている犬小屋から、伸びをしながら嬉しそうに出てくる。しかし今年になって、犬小屋から出てこないので無理に引っ張り出して何とか門を出ても、ぐずぐずと10メートルほど進むと踵を返して門に戻り、さっさと階段を上って玄関に 向かったり、犬小屋から全く出てこなかったりという散歩拒否事件が起こった。1月20日(月)、22日(水)、23日(木)、27日(月)、2月6日(木)そして2月10日(月)の6回だ。初めての経験である。
 散歩を拒否され何故だろうと考えたら、どうも寒さの厳しい日に散歩を嫌がっているように思われた。インターネットで富山地方気象台を検索し、富山市の1月からの毎日の最低気温を調べた。散歩拒否された日は、1月20日が-2.7℃、22日が0.2℃、23日が-1.0℃、27日が-3.2℃、2月6日がこの冬最低の-4.1℃、そして10日が-2.5℃だった。1月22日以外はマイナスなので、私の推理が当たっているように思ったが、散歩に出かけた日でも、-3℃以下の厳しい日が見つかった。1月10日が-3.2℃、1月13日が-3.1℃、そして2月5日が-3.9℃だったのに、どの日も散歩に出かけウンチも1回している。その他のマイナスの日にも散歩に出かけている。クロスケも人の子ならぬ犬の子、体調が悪い日や散歩の気分にならない日もあるだろう。そんな日に、寒さが体調や気分に上乗せされ散歩拒否をした、これが私の結論である。
 さてこのクロスケ、体重15キロ超と大きく力も強いのだが、おかしな癖がある。今ではさほどでもないが、3歳ころまでは、道路を横断している側溝にかぶせてあるグレーチングの前に来ると尻込みして渡ろうとせず、引っ張ると四足を踏ん張って抵抗した。また、散歩コースに建つ呉羽梨選果場は通り抜けになっていて、行きがけに駐車場側から入ろうとすると、これまた四足を踏ん張って、頑として通ろうとしない。雨の日や雪の日には少しでも濡れずに散歩したいと思うのだが、そうはさせてくれず、建物の外側の道路を通って次のコースに向かうのである。一方ハナは、何のためらいも無く当然のように通り抜けを進んでいく。
 クロスケのおかしな癖は、この癖に極まる。2匹は月曜日から金曜日まで妻に連れられて、自宅のすぐそばの老人介護施設「あさひホーム吉作」に出かけ、ご利用者さんのお相手(?)をしている。ホームの2階はグループホームになっているのだが、2匹で階段を上がって 2階の出入り口につくと、ハナはすぐに廊下を左に曲がってグループホームのフロアに入っていく。しかしクロスケはすぐには廊下に足を踏み出せない。しばらくして意を決し、後ろ 向きになってバック歩きでフロアに入っていく。私はその姿を目撃したことはないのだが、妻が、携帯電話のカメラで撮った動画を見せてくれた時は、笑った、笑った。廊下をバックしながらフロアに入ると、最初のテーブルの下にお尻から入り、バックで進んでテーブルの反対側からお尻が出てくる。そのまま数歩バックで進みキッチンに近いもう一つのテーブルの下にまたお尻から入り込むところが撮影されていた。クロスケは、階段の出入り口から右に進むことも出来ない。数メートル先で私がパソコンに向かっているのを見つけても、やって来られないのだ。ハナは私を見つけると、尻尾を振って近づいてくるというのに。
 ハナとクロスケの違いは、他にもある。ハナは何度もホームから脱走し、何時間も梨畑の中を遊びまわり、ようやく捕獲した時には、草の実を身体中にくっつけたり、梨畑にまかれた肥料に体をねじりつけて臭い匂いをつけたりしている。クロスケはハナと一緒にホームから出て行っても、すぐに戻ってきて、出入り口の扉を開けてくれと要求するそうだ。
 えさの食べ方も違う。我が家の犬の食事は、煮干とビーフジャーキー、そして顆粒のドッグフードの3種混合なのだが、クロスケが一目散にあっと言う間に食べてしまうのに対して、ハナは直ぐには食べ出さず、ドッグフードの下に隠れているビーフジャッキーを抜き出し、エサ入れの皿から離れたところに持っていって食べることがある。好物の牛のあばら骨の時には、穴を掘って埋める。その埋めた骨をクロスケが掘り出して食べてしまったこともあるようだ。
 この冬、凍った道を平気で 進んだのがハナで、凍った道の前で進もうとしなくなるのがクロスケ。滑らないところを見つけて進んだクロスケに引っ張られて、凍った道を長靴の私がスケートしたこともあった。
 犬から人間の話になるが、私の4人の子どもは、親子だから4人それぞれ私に似たり妻に似たりしたところがあり、先日も、長男が自分が忙しいのに 何でも引き受けるところは私そっくりだ、と妻に言われた。反対に、ハナとクロスケが親子でもずいぶん違うことを妻と 話していると我が子の話になり、「〇〇は、誰に似たんだろうね」と、お互いに顔を見合わせることがよくある。その最たるものが、どう考えても私にも妻にも似ていない言動をする大学3年生の末っ子だ。彼が帰省するたびにその服装に驚かさせられる。こんな格好でよく平気で外を歩けるものだと思う。髪の毛の染め方も尋常ではない。 服装や髪の毛の色を話題にすると、「学生時代にしか出来ないから」と言う。口のきき方にあれっと思い、ムッとすることもある。しかし、ハナとクロスケの違いを思えば、それもありかと最近は思う。兄弟も同じ。クロスケの兄弟や姉妹も、生まれたときは見分けが付かなかったのに、成長するにつれ外見や 行動から、クロスケ(黒い)、クマコ(黒っぽくて熊のよう)、オビコ(鼻筋に白い帯)、ヤンタロー(やんちゃ)、ウスコ(毛の色が薄い)と名付けられた。クロスケ以外は、もらわれた先で新しい名前が付いたが、ウスコの子犬の時の噛み癖はカナと名前が変わった今も直っていないと、もらい主から噛まれた傷跡を見せられる。他の子犬たちも、それぞれに新しい名前で個性を発揮していることだろう。
 人間も犬も、親子で、兄弟で違って当たり前。一卵性の双子でも性格は違う。それなのにこの当たり前のことを忘れて腹を立てる私がいるが、これからは「違っていて当たり前、だから面白い」と、余裕で考えられるようになろう。これからの人生が、きっと楽しくなるだろう。クロスケの散歩拒否も、また楽しい。
私が75歳の時にクロスケは12歳。お互いに後期高齢者の年恰好だろうが、その時も毎朝2人元気で、お互いに個性を尊重しながら散歩しようね。

ハナとクロスケ

クロスケ4歳(左)と母親のハナ6歳(右)
クロスケ4歳(左)と母親のハナ6歳(右)