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朝日建設株式会社 本社地図
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2008年6月

経営破綻に思う

 6月9日の昼、富山国際会議場での環境シンポジウムからの帰り道、丸の内を歩いていたところに、総務部長から携帯電話があった。A社から民事再生法の適用申請が富山地裁になされたと言う。A社の本社前にさしかかると、テレビカメラで社屋の撮影がされている。新聞の休刊日なので号外が出され、県内きっての老舗の大手建設会社の経営破綻を大きく報じていた。
 6月17日、日本道路建設業協会の本部・北陸支部役員と、国土交通省北陸地方建設局の局長、道路部長、企画部長など幹部との意見交換会に出席するためにJRで新潟に向かっていたところ、9時過ぎに営業部の社員から携帯電話があった。B社が、富山地裁に破産手続き開始を申し立てたようだと言う。
 意見交換会では、舗装施工管理技術者を入札条件、さらには舗装の許可要件にするよう発言しようと、列車の中で参考資料を読み返しているところであった。施工実績も施工体制もない好い加減な建設業者、まさに不良不適格業者が、特に一般競争入札になってから数多くの舗装工事を低価格で受注し、それを大手舗装業者に丸投げしているが、それは、元請、下請の建設業者のみならずそれを容認している発注者も建設業法違反をしているということなのである。この不公正な状況を改めるためには、舗装施工管理技術者資格をもっと活用することは非常に有効な方法のひとつである、というのが私の主張である。
 意見交換会での自由討議で、私は発言をこのように始めた。「富山市で終戦後、昭和20年代の終わりから30年代の初めにかけて舗装を始めた建設業者は5社であった。今朝、新潟に来るJRの中で、社員から電話があり、その中の1社のB社の破綻を知った。局長の挨拶にあったように、先週6月9日にはA社が民事再生法の適用を申請した。数年前(平成14年8月5日)には、C社が倒産しているので、富山市の舗装の先駆け業者5社の内、残るのは当社とD社の2社だけになったが、D社には親会社があるので、独立系舗装業者は当社だけになってしまった。」
 そして、こう続けた。「昨日、私が富山県建設業協会で委員長を務める経営改革推進委員会で、一人の委員が、こんなに厳しい建設業界なので、会社は息子に継がせず倒産する前に廃業したい、しかし、従業員を路頭に迷わせるわけにはいかないので、どこかの会社に吸収してもらいたい、と言っていた。私は、大半の業者がこのように考えていると思う。また、委員会では、行政は新分野進出や、企業の合併・再編を支援するより、スムーズに廃業できるよう支援、助成した方が良いという意見も出たが、これも本音のところであろう。」
 発注者である官側の皆さんは、私の発言を最後まで真剣に聞いてくれていた。
 私は、毎朝「あさひホーム吉作」で飼っている犬と梨畑の中を散歩しているが、5月中旬の日曜日の朝、摘果している農家のおじさんに、「ずいぶんあちこちで梨の木が切られていますね」と声をかけた。おじさんは、「原因は、後継者がいないことと、価格が低迷し続けていること。自民党ではなく、一度民主党に政権を取らせたらよい。自民党は建設業者とべったり。富山は道路が立派で道路整備率も高いから、もう道路は要らない。」と答えた。
 われわれ建設業者は過去に類を見ない現下の建設不況にあって、除雪や災害復旧などの対応のためにも、建設業が疲弊の窮みにあるようではいけないと言っているが、建設業以外の市民、県民の見方は、この農家の人と同じなのだろうと思った。そして、建設業者を食べさせるために公共事業の発注がなされるのではないのであり、地域の発展、安全さらには文化の向上のために必要な社会資本の形成を公共事業として実施するためにまともな建設業者が必要な数だけ要るという、手段と目的を混同しない考え方を建設業経営者はまずベースに持たなければいけないと思った。

 そして、廃業の道を進むのではなく、地域に役立つまともな建設業者として、不良不適格業者に負けずに勝ち残るためには、コスト管理における自社の体質改善を図ることと、公共事業においては、発注者と施工者が口先だけでない真のパートナーシップを築き上げることが大事である。その点において、当社が取り組んでいるCZ(クッション・ゼロ)式コスト管理やCCPM(クリティカル チェーン プロジェクト マネージメント)による工程管理などの自助努力、そして、私自身で、また、建設業協会の委員会を通じて発注者に働きかけているワンデーレスポンスの積極的な導入要求の方向性は正しいと考える。

 昭和15年創業、昭和21年設立の朝日建設を、三代目の私で破綻させることになっては、公共事業の真の発注者でありお客様である県民、市民に対する責任が果せなくなり、社員に対しても責任が果せなくなることを肝に銘じて、この難局を明るく切り開いていきたい。

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