本文へ移動
朝日建設株式会社 本社地図
0
5
1
7
9
6

2008年7月

ホームの申し送りから

 あさひホーム(北代)とあさひホーム吉作では、毎朝8時半から「申し送り」が行われる。私はこの「申し送り」に、朝日建設の朝の定例会議と重ならない水曜日と木曜日には自宅から直行して参加し、朝日建設が休みの土曜日と日曜日にも参加していた。 
 6月10日付けで電気部をユニバーサルデザイン(UD)室に統合し、私をUD本部長とする組織変更を行ったが、その日から毎朝7時半に出社してUD室のミーティングを行うことにした。そうなると、水曜日と木曜日は自宅から本社に出勤し、UD室のミーティングを終えてからまた直ぐに自宅方面の北代と吉作のホームに行くことになる。時間のロスを考えると自然に足が遠のいてしまい、土、日のみの「申し送り」参加になってきたが、先日、良い話が聞けた。 
 7月5日の土曜日の吉作での申し送りで、介護スタッフのSさん(男性)が、「(スタッフ)ミーティングで、2階の廊下から階段への出入り口の戸の施錠は、日中は行わないことに決めました」と言う。6月始めにグループホームに入居のYさん(女性)が入院されたので、外に出たがるYさんがおられない間は、戸が施錠されていなくても他の入居者の方は階段を降りていくことは無いし、施錠することで束縛感を与えたくないというのが理由だ。 
 2年前の7月に、2階建ての病院を介護施設に用途変更工事してあさひホーム吉作を開業したが、私が一番心配したのが2階の窓や扉からの利用者さんの転落であった。12ある居室の引き違い窓にはストッパーを付け、全開できない様にした。廊下の両サイドの2箇所の両開き戸には、直ぐには出られないようにと網戸を増設した。そして、階段への引き戸には、お年寄りには手が届かないと思われる上部に、レバーハンドルの錠を取り付けたのであった。しかし、このYさんは、手を伸ばしてレバーハンドルを開けて一人で階段を降りられる。そこで、レバーハンドルを取り外してマイナスねじの頭みたいな凹んだところに1回1回金具を刺しこんで開錠するようにしていたのだ。 
 私はSさんの話を聞き、「それでも、Yさんの他の利用者さんが一人で階段を降りていって、途中で転ぶことだって考えられるではないか」と反論すると、Sさんは「そうならないように見守るのがプロですよ」との返事。これには"一本とられた"と思った。 
 この梅雨時に大きな戸が開いていると文字通り開放感があるし、階段室の壁に掛かっている絵が見えるのも雰囲気的になかなか良い。施錠しないことは、スタッフにとっても利用者さんにとっても来客にとっても良いことだと思った。 
 居室の引き違い窓のストッパーも、二部屋以外は取り外した。この二部屋にお住まいのおばあちゃんは、お一人は窓から体を乗り出そうとされ、もうお一人は車椅子なのだが、ベッドに寝ていて窓のカーテンを引っ張ることがあり、危険が予測されるという理由だった。 
 最も介護度の重いNさん(女性)は全介助であり、窓を自分で開けるはずが無い。毎日のように見舞いにやって来られる娘さんが、窓が全開しないので換気も十分にできないし、施設的に思えて気分的にも滅入ると話しておられたが、ストッパーが取り外されたことを知らずに窓を開けたら全開したので非常に喜ばれたとスタッフから聞いた。また、自宅に近い生活を目指してスタッフの方がいろいろ考えてくださってありがたい、とも話されたという。早くストッパーを取り外せばよかったと反省した。 
 私は、平成15年4月に北代であさひホームを開業するに当り、多くの介護関係の本を読み、セミナーにも参加した。その中で、「生活を原点にしてお年寄りと接すれば、皆それぞれが異なる人格を持った個人であることが常識的に分かる。"高齢者"という名前の人はいないのであり、集団援助ではなく個別支援を行う」という文章を読んで共感し、これをあさひホームでのお年寄りに対する支援の基本にした。そうであれば、あさひホーム吉作での用途変更工事においても、最初から全ての居室の窓にストッパーを付けるのではなく、入居されるお年寄りの一人ひとりのADL(日常生活動作)を見極めてから、必要ならばストッパーを付ければ良かったのだ。 
 数日前、道路に面した2階のグループホームの居室の窓に布団が干してあるのを目にした。生活感が伝わってきた。また、今朝(7月17日)、癒し犬ハナの散歩を終えてから新聞を2階に持って行き、夜勤のMさんに居室の窓が全開になった話をしたら、お年寄りにはエアコンよりも自然の風のほうが体に良いと思い、夜は窓を全開にして網戸にし、レースのカーテンだけ閉めて風を通しているとのこと。吉作の冷暖房は重油を使っているので、このところの急激な原油高騰の折、経費節減にもなっていると嬉しく聞いた。
TOPへ戻る