のはらうた版画カレンダー

2025.12.25

 毎年12月に、私は富山市内のゼネコン3社に出向いて、お歳暮のカレンダーを配っています。

   

 一昨年までは、重要無形文化財「型絵染」の保持者で人間国宝の芹沢銈介さん(1895年-1984年)がデザインした図案を、伝統工芸「八尾和紙」の桂樹舎が和紙のカレンダーとして製造したものを購入していました。

   

 しかし、桂樹舎が芹沢銈介さんの図案を全て使い切ったためカレンダーを作らなくなりました。そこで、長男が総曲輪で営む民芸店「林ショップ」が以前仕入れていて、工藤直子さんの詩集「のはらうた」に掲載されている詩に、ほてはま たかし(保手浜 孝)さんの描いた絵が添えられている「のはらうた版画カレンダー」を配ることを思いつきました。このカレンダーは、我が家のダイニングルームと本社の総務部に掛けていましたが、息子の店では扱わなくなっていたので、昨年保手浜さんに手紙で注文し取り寄せました。

   

 今月のカレンダーは「じかん」という題の詩で、「ほしますみ」という名のヤギが語っています。

   

ながいながいゆめからさめて まばたきしました

これからまためをとじて ながいながいゆめをみることにします

ゆめのはじまりは いつだったのかしら

ゆめのおわりは いつなのかしら

   

 手元に、保手浜さんからの「のはらうた版画カレンダーをご注文くださりどうもありがとうございました。ほてはま たかし」というフクロウの版画が描かれたお礼状と一緒に、「おまじない・えはがき どの絵はがきで、お便り書こう?どれ選んでも『大吉』」だい!」という案内と一緒に7枚の絵はがきが入っていました。

   

・白いりすが描かれた「花も嵐もあって人生」には、「花」の時間をだいじに抱くと嵐も「花色」まぶしくなる、と解説があります。

・たくさんの豚が鉄棒をしている「三日坊主も十回やれば三十日」の解説は、一回へっちゃら!二回どんとこい!三十回目が待ってるぞ!。

・カニが花に如雨露で水をかけている「私は私の人生から出ていくことはできない ならばここへ花を植えよう」の解説は、そうです ほんのりしっかり花あるあなた 中心のぶれないあなた。

・カマキリが描いてある「やるときはやる やらんときはやらん」の解説は、やるときゃ全身でがんばっ!やらんときゃ全身できっぱり!

・クマが手を上げている「手のひらにいつもあした」の解説は、からっぽの手のひらだから受け止める「きぼう」もいっぱい

・いるかが水中から顔を出している「いまいるところ そこが宇宙の中心点」の解説は、どこにいたって いつだって あなたは世界のまん中

・ふくろうが枝にとまっている「心配ない心配ない 朝はかならずやってくる」の解説は、あなたの朝のお日さまピカピカ 涙はきれいな虹になる

   

 いかがですか。どの詩も前向きで明るく楽天的ですね。私はあまりくよくよする性格ではありませんが、時には落ち込むこともあります。ちょうど7枚なので枕元に置いておき、一週間、毎朝1枚声に出して読んでから着替えて、犬の散歩に出かけようと思います。きっとその日一日、楽しくなることでしょう。

きょうの言葉

2025.11.25

 先月のコラム「新聞記事の切り抜き」の書き出しは、「私の机上のキーボードの後ろには、新聞のコラムの切り抜きが記事の種類ごとにクリップ止めしてあります。各新聞社の新聞の1面下段には毎日コラムが載っていますが、北日本新聞は『天地人』、富山新聞は『時鍾』、朝日新聞は『天声人語』そして日経新聞は『春秋』です。富山新聞には、中ほどのページに『きょうの言葉』というコラムも掲載されています」です。

   

 今月は、このところ毎日のように切り抜いている「きょうの言葉」」について書きます。

   

 パソコンの「新聞・雑誌記事:コラム、論評など」の中にあるフォルダー「きょうの言葉」にスキャンして保存してあるもっとも古いコラムは、2020年4月14日の「おだやかに議論して、一致点を見つけることを、第一の目的とすべき」です。この言葉はSF作家の豊田有恒さんのエッセイ集に収められている言葉で、「あるとき同業の作家から『編集者からあまりな仕打ちを受けているのですが、喧嘩すべきでしょうか』と相談をうけた。豊田はまず『仕事を失う覚悟があるなら喧嘩してもいい』と答える。それに続くのがきょうの言葉だ。実に大人の発言である。」と書き始められています。そして、当の豊田さんも「SFの鬼」と呼ばれた名編集者の福田正実さんと激しい論戦を展開した話が出てきて、「自分は作家生命を危険にさらしてまで喧嘩をしているのである。と続き、「きょうの言葉には、多分に自戒の念がこもっているわけだ。」とまとめています。

   

 「きょうの言葉」を書いているのは翻訳家の矢口誠さんで、「私は翻訳の仕事をしているので、喧嘩をした豊田の気持ちはよくわかる。作家や翻訳家は家で孤独に仕事をしているため、同僚に愚痴を言って気持ちを紛らわすわけにもいかず、つい感情的になってしまうことがあるのだ。」と続けています。

   

 私は5年ぶりにこのコラムを読み、会社でも家庭でも感情的にならずに、一致点を見つけることを意識して議論するようにしようと思いました。心に残ったからスキャンして残したのです。こうして読み返して自分の行動を改めようと思っただけでも、今月のコラムで「きょうの言葉」を取り上げてよかったと思います。

   

 そして、スキャンしてある最も新しいコラムは、2025年9月2日の、スペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗した宇宙飛行士山崎直子の言葉「否定形はできるだけ使わない」です。これも自分自身、会社でも家庭でも心がけたいことです。

   

 クリップ止めしてある切り抜きの一番下は2025年2月27日の漫画家で江戸風俗研究家の杉浦日向子さんの言葉「”粋”は『おれは粋だろう』と自己申告できません」で、「“粋”は、必ず過去形で『粋だった』というのが正しい使い方です」と書かれています。私がサラリーマン時代に習った小唄に、最後に「おや、粋だね」と歌う小唄がありましたが、“粋”は、必ず過去形で「粋だった」というのが正しい使い方であれば、私が習った小唄の歌詞は間違っていたということになります。

   

 クリップ止めの一番上はこのコラムを書いている今日11月24日の、漫画家で絵本作家のおーなり由子の「<そういうもの>と思っていることのほとんどは、いつか誰かが決めただけ」で、彼女が通っていた中学は校則が厳しく制服一つをとっても「スカートは膝下に」「靴下は白」と決められていて、息苦しさを覚えるほどだったが、進学先の高校には制服がなく、私服姿の上級生たちを見て、その自然で自由な姿に驚いたという話でした。当社ではずいぶん前から私の発案で事務職の女性社員への制服支給をやめ、1年に1回、27,500円を支給し、好きな洋服を買って仕事をしてもらっています。今にして思えば「そういうもの」という世間の常識を疑っての規定変更だったのです。

   

 こうして毎月コラムを書くことはかなり負担ですが、自分の言動を改めるきっかけになったり、過去の行動を思い出させてくれたりするので、私にとって有意義なことだと思いました。プラス思考ですね。

新聞記事の切り抜き

2025.10.24

 私の机上のキーボードの後ろには、新聞のコラムの切り抜きが記事の種類ごとにクリップ止めしてあります。各新聞社の新聞の1面下段には毎日コラムが載っていますが、北日本新聞は「天地人」、富山新聞は「時鍾」、朝日新聞は「天声人語」そして日経新聞は「春秋」です。富山新聞には、中ほどのページに「きょうの言葉」というコラムも掲載されています。

   

 パソコンの「ジャンル別新聞、雑誌記事」というフォルダーには、前述のコラムでパソコンにデータとしてしまっておきたいコラムや、その他の新聞連載記事や雑誌の記事をスキャンして、フォルダー別に入れています。

   

 連載記事のフォルダーは古い順に、「02~15課外授業新聞記事など」(富山経済同友会が講師を派遣して行っている中学2年生に対する授業) 、「志村ふくみ」(亡くなった母が大好きだった藍染の大家)、「19.7 中西進さん」(高志の国文学館の初代館長)、「20.3、4 新型コロナウイルス関係」、「21.4.26~ 語る 児童文学作家 角野英子」(「魔女の宅急便」の作者)、「24.7 レストラン小西」(富山のフランス料理の草分けのオーナーシェフ小西兼造さん)、「25.5.15-5.28 別院仲通り二週間ひろば」(民芸店「林ショップ」を営む長男が実施するイベント広場)で、その後に日付なしで「阿川佐和子 だいたいしあわせ」、「新聞・雑誌記事:コラム、論評など」、「新聞・雑誌記事:その他」、「新聞・雑誌記事:個人、家族、親戚」、「新聞・雑誌記事:朝日ケア・介護記事」、「新聞・雑誌記事:朝日建設・建設業界」で、その後に、単独記事が76本あります。

   

 この記事を書きながら、何のために保管しているのかと自問しました。当然、後日読み返したり、参考にしたりするためですが、読み返したためしがないことに気付きました。

   

 そこで、最近切り取った10月13日の富山新聞の「月曜手帳」を読み返しました。記事のタイトルは「ドラマーは華より中身」です。書き出しは「自民党の新総裁、高市早苗氏は若い頃にドラムを叩いていた。神戸大学に在学中はロックバンドのドラマーを掛け持ちでこなしていたという。」で、次に続く項「ちょっと違う」では、「ドラムはリズムの要である。とにかく自分を信じ、しっかり叩いていく。ドラマーは地味で真面目だが、それだけではない。自己陶酔できないと務まらない。」、「高市氏は『飲み会』が苦手とあった。夜は時間があれば資料を読み込み、原稿を書くという。真面目で他の政治家と違うところは、バンドでドラムを担当した人らしい。」とあり、最後の項「味方は十分か」で、「目立つボーカルより、要のドラムを選んだ人である。国民が希望を持てる国をつくるため、華より中身で、馬車馬のように働くと決意したのだろう。味方は十分なのだろうか。仲間づくりに終わりはない。」と結んでいます。

   

 自民党の高市総裁は日本維新の会と連立を組み、21日に衆参両院の本会議で第104代首相に指名され、憲政史上初の女性首相に就任しました。高市氏はガラスの天井を破ったのです。これからいろんな課題に取り組むことになりますが、私が最も危惧するのは、積極財政を訴えた高市首相に対する財務省の抵抗です。味方を増やし、財務省の官僚に丸め込まれずに政策を実現していただきたいと思います。そして「高市関連」というフォルダーを作り、高市首相に対する新聞各社の見方を日々ウオッチしていこうと思います。

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