3月18日(火)、富山第一銀行のファースト・バンク青雲会研修会で高山市に出かけました。昼食の飛騨牛ステーキに惹かれての参加でしたが、ウイスキーのロックを飲みながら食べたステーキは柔らかく、トロリと美味しかったです。これで参加の目的は達成できましたが、もう一つ収穫がありました。それは、高山駅から貸し切りバスで出かけた飛騨産業株式会社の見学でした。
飛騨産業は1920年(大正9年)創業の木工家具を作る会社ですが、会社案内のパンフレットには、家具インテリア用品の製造販売、自然エネルギーによる発電事業、林業/製材業とあります。
会社に着くと、最初に、創業100周年の節目の2020年に代表取締役社長に就任した岡田明子社長(42)から、社長就任の2021年に制定した企業ビジョン「志」と、4つの価値観、「森と歩む」、「人を想う」、「技を磨く」、「時を継ぐ」について説明を受けました。また、従来から勤めている社員の反対もあったものの、企業ロゴを「キツツキマーク」から「HIDA」に変更した話を伺いました。その後、説明会場の一階上にある「飛騨職人学舎」を見学しました。この「飛騨職人学舎」についてホームページには、「伝統の心と技術を大切に受け継ぎ、世界中の人々に感動と喜びを与えることを生きがいとする、技能と人間力を兼ね備えた一流の木工家具職人の養成、及び次世代への文化継承に寄与することを目的に2014年より飛騨職人学舎を開校いたしました」とありました。
この日は、19歳の男性と23歳の女性が家具を作っていて、一人2分間ずつ名前、出身地、学舎に入った動機を語った後、2024年に制定した「飛騨職人学舎職人心得30か条」を交互に読み上げました。なかなか良かったので写真に撮りましたので、以下に記載します。
1.挨拶のできた人から現場に行かせてもらえます。
2.連絡・報告・相談のできる人から現場に行かせてもらえます。
3.明るい人から現場に行かせてもらえます。
4.周りをイライラさせない人から現場に行かせてもらえます。
5.人の言うことを正確に聞ける人から現場に行かせてもらえます。
6.愛想よくできる人から現場に行かせてもらえます。
7.責任を持てる人から現場に行かせてもらえます。
8.返事をきっちりできる人から現場に行かせてもらえます。
9.思いやりがある人から現場に行かせてもらえます。
10.おせっかいな人から現場に行かせてもらえます。
11.しつこい人から現場に行かせてもらえます。
12.時間を気にできる人から現場に行かせてもらえます。
13.道具の整備がいつもされている人から現場に行かせてもらえます。
14.おそうじ、かたづけの上手な人から現場に行かせてもらえます。
15.今の自分の立場が明確な人から現場に行かせてもらえます。
16.前向きに事を考えられる人から現場に行かせてもらえます。
17.感謝のできる人から現場に行かせてもらえます。
18.身だしなみのできている人から現場に行かせてもらえます。
19.お手伝いのできる人から現場に行かせてもらえます。
20.自己紹介ができる人から現場に行かせてもらえます。
21.自慢のできる人から現場に行かせてもらえます。
22.意見が言える人から現場に行かせてもらえます。
23.お手紙をこまめに出せる人から現場に行かせてもらえます。
24.トイレそうじができる人から現場に行かせてもらえます。
25.道具を上手に使える人から現場に行かせてもらえます。
26.電話を上手にかける事ができる人から現場に行かせてもらえます。
27.食べるのが早い人から現場に行かせてもらえます。
28.お金を大事に使える人から現場に行かせてもらえます。
29.そろばんのできる人から現場に行かせてもらえます。
30.レポートがわかりやすい人から現場に行かせてもらえます。
飛騨職人学舎は2年制で、授業料はなく、逆に毎月8万円の給料が支給されます。休みは 盆と正月だけで、携帯電話やスマホは預けさせられるとのことです。家族と連絡を取るには、23番の「お手紙をこまめに出せる人から現場に行かせてもらえます」を実践しなければならないのです。
それぞれの条文には解説がついています。少しだけ載せましょう。
11の、しつこい人から現場に行かせてもらえるのは、「貪欲に学ぶ姿勢でいることで、多くのことが学べるからです」で、21の、自慢のできる人から現場に行かせてもらえるのは、「熱意をもってこだわりを伝えると、相手に感動してもらえます」とあります。解説を読まないと、なぜこうしなければいけないかわからない条文がほかにもあると思います。気になる人は、私に質問メールを送ってください。写真の文字がぼやけていますが、判読してお答えします。
1月のコラム「趣味は読書」は、「わたしは、自分の趣味は仕事と読書と映画鑑賞だと思っています。映画鑑賞については、昨年の12月のコラム『126』で、昨年ほとり座で観た映画126本について書きました。読書については、昨年10月のコラム『読書の秋』と11月のコラム『井上ひさし』で書きました」と書き出しています。
昨年8月の「映画はほとり座で」では、これまで観た映画で印象に残った作品について次のように書いています。「どうしてももう一度観たいと思って1週間の間に2回観た『こちらあみ子』、今年2月に観た、孤独を抱えながら生きる男女が、かけがえのないパートナーを見つけようとする姿を描いたフィンランドのラブストーリー『枯れ葉』、そして先日観た『東京カウボーイ』や、笑福亭鶴瓶も出ていた『あまろっく』、外国映画では、オードリーヘップバーンの『ローマの休日』や、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの『ひまわり』など、観てよかったと思った作品が圧倒的に多いです。」
さて、今年もせっせとほとり座に通っています。1月は11本観ましたが、2月は8本観ます。2月11日の祝日に2人の孫と一緒に観た「ロボット・ドリームズ」、帰り際に2人とも泣いていました。ラストシーンが切なかったようです。
この2か月で最も面白かったのは、今年最初に観た「侍タイムスリッパー」です。この映画は、3月15日~3月21日にアンコール上映します。2月7日の北日本新聞には「時代劇に愛を込めて 斬られ役60年、峰蘭太郎さん(黒部出身)『侍タイムスリッパー』出演」という記事が載っていました。アンコール上映は、わたしがこれまで経験したことがありません。社員の皆さんにお薦めです。
最も心に残った映画は、2月16日(日)に観た、表題の「お坊さんと鉄砲」です。チラシから概要を引用します。
時は2006年。国民に愛された国王の退位により、民主化へと転換を図ることになったブータンで、選挙の実施を目指して模擬選挙が行われることになりました。周囲を山に囲まれたウラの村で、その報せを聞いた高僧は、なぜか若い僧に銃を手に入れるように指示します。時を同じくしてアメリカから“幻の銃”を探しにアンティークの銃コレクターがやって来て、村全体を巻き込んで思いがけない騒動が持ち上がります・・・。
長編映画監督デビュ-作の「ブータン 山の教室」(’19)が世界中でサプライズヒットとなったパオ・チョニン・ドルジ、待望の監督第2作。前作では秘境ともいえる地で、伝統を守りながら生きる人々の暮らしを活写しつつ“学ぶ”ことによって未来は切り開かれていくのだと示した監督が、今回モティーフに選んだのは「選挙」。初めての選挙によって“変化”を求められ戸惑う村の人々の姿を、前作同様、温かい眼差しと飄々としたユーモアで紡ぎながら、本当の幸せとは何かを、観る者に問いかけます。
わたしは予告編で、若い僧が鉄砲を担いで道を歩いているところへ、銃コレクターが車で追いかけてくるシーンを観て、面白そうだと予定に入れましたが正解でした。面白いというより、考えさせられる映画でした。
Google Chromeでブータンを検索すると次のように書かれていました。南アジアにあるブータンは、発展途上国ながらGNH(Gross National Happiness:国民総幸福)が2013年には北欧諸国に続いて世界8位となり、“世界一幸せな国”として広く知られるようになりました。GNHは1972年、第4代のジグミ・シンゲ国王によって提唱され、GDP(国内総生産)やGNP(国民総生産)ではなく「国民の幸福は経済成長よりも重要」との考えのもと生まれました。国民が皆一様に「雨風をしのげる家があり、食べるものがあり、家族がいるから幸せだ」と答える姿が報じられました。
観終わって、この映画のパンフレットを買い求めました。監督へのインタビューで、監督は、「GNH(国民総幸福)のような概念や、『無垢』といった資質を尊重することが、私がブータンの物語を世界と分かち合おうとしている理由です。」と語っていますが、やはりGNHを意識していたのだと分かりました。そして、仏塔の土台を作るために掘った穴の中に銃を投げ込むラストシーンになぜか涙が出ました。
パンフレットに書かれたエッセ-の一つにこんな文章がありました。ブータンで武器といえば、まっさきに思いつくのは弓矢か刀であるはずです。それなのに、お坊さまが考えた「争いの象徴」が「銃」であったのは、「海外から入ってきた争いの種」として「選挙」と「銃」を重ねて見たからかもしれません。
この文章で、「お坊さまと鉄砲(The Monk and The Gun)」という映画の題の深い意味を知りました。そしてわたしの涙が、争いの象徴の銃を放棄したことに共感したからだと思いました。
私が尊敬する中村天風師の教えは、人間として生まれてきたからには「積極的に生きようではないか」、苦しいことがあったからといって「下を向かずに前を向くべき」というポジティブ思考ですが、ブータンの国民の生き方にも、中村天風師の教えと相通じるものを感じました。
読書も映画も、わたしの成長のために欠かせないものだと、改めて思いました。
わたしは、自分の趣味は仕事と読書と映画鑑賞だと思っています。映画鑑賞については、昨年の12月のコラム「126」で、昨年ほとり座で観た映画126本について書きました。読書については、昨年10月のコラム「読書の秋」と11月のコラム「井上ひさし」で書きました。
「読書の秋」では、朝日新聞名物・名文記者の近藤康太郎さんの著書「三行で撃つ」について書き、「井上ひさし」では、古志の国文学館で開催された「生誕90年 井上ひさし展」で買い求めた「井上ひさし ベスト・エッセイ」について書いています。
「読書の秋」で、「わたしは過ごしやすい秋が来たから読書しているわけではなく、暑さや寒さに関係なく一年を通して、何らかの本を読んでいることに気付かされました」と書いていますが、本は小さいころからよく読んでいました。今でも覚えているのは、小学4年生の時に読んだ石井桃子の「ノンちゃん雲に乗る」です。蓮町に住む友達の家に行くために乗った富山港線の電車の中で読み始めたことも覚えています。中学生の時は、読書感想文を書くために獅子文六の作品を読みました。
わたしの読書好きは、幼稚園の頃、母が寝るときに本を読んでくれたことによると思っています。終戦後間もない頃でしたから、紙が茶色っぽい本でした。アンデルセン童話の人魚姫、マッチ売りの少女、みにくいアヒルの子、グリム童話の白雪姫、ヘンゼルとグレーテルなど、日本人の作品では、小川未明の赤い蠟燭と人魚、浜田広助のむくどりのゆめ、坪田譲二のつるのおんがえしなどでした。
小学2年生のころ、教育実習生のおにいさんに「大きくなったら何になりたい?」と聞かれ、「作家」と答えたら、「サッカー選手だね」と言われ、違うんだけどな、と思ったことを覚えています。
さて、今読んでいるのは、「井上ひさしベスト・エッセイ続 ひと・ヒト・人」、「中村天風の教えがマンガで3時間でマスターできる本」と、この本を本屋に買いに行ったときに、入り口に並べてあった、帯に「追悼 谷川俊太郎さん」とある詩人谷川俊太郎と歌人俵万智の対談「言葉の還る場所で」と谷川俊太郎の「詩選集1」、そして電子BOOKで読んでいる夏目漱石の「吾輩は猫である」です。
「吾輩は猫である」は、読みだしてからふと左下の表示を見たら、351/2230 とあるではありませんか。名前はまだない猫と、この猫が飼われている家の主人とを中心として、その家に出入りする人たちや猫の仲間とのことが書かれていてなかなか面白いのですが2230ページもあるのには驚きました。読書好きの社員のTさんに「吾輩は猫である」を読んだことがあるかと尋ねたところ、彼も途中で挫折したとのことでした。妻に聞いたら「わたしは日本文学科卒業よ。読んでいますよ」と言われ、さすがだと思いました。
「井上ひさしベスト・エッセイ続 ひと・ヒト・人」は、東西の作家や役者について井上ひさしが書いていて、これも読みかけです。でも、第2章のタイトルが、カナシイ夜は「賢治全集」で、わたしが最も好きな作家の宮沢賢治を取り上げていて、賢治について深く考察されています。冒頭部分に、オーストラリア国立大学の日本語科で教師のまねごとをした時に、「賢治はわたしの新しい聖書です」と、きっぱりという学生が何人もいた、と書かれていたのには驚きました。今、352ページ中の176ページ、北杜夫『高みの見物』まで読んでいます。最後に取り上げているヒトは、わたしが大好きな役者渥美清さんについての「渥美清とフランス座」です。わたしは本は最初から順番に読んでいくのですが渥美清となれば、中を飛ばして今夜読みます。
本は紙で読むものだと思っていますが、電子BOOKの中の宮沢賢治の作品を見ていたら、賢治の作品は童話も詩もすべて読んでいると思っていたのに「さるのこしかけ」という見覚えのない作品が目に入りました。これも今夜読みます。
電子BOOKでは、自由律俳句の俳人で、「分け入っても分け入っても青い山」が有名な種田山頭火や、「檸檬」の梶井基次郎、「夫婦善哉」の織田作之助、「堕落論」の坂口安吾など、それぞれ本を買って読んではいたのですが、今はどこにあるかわからない作品を読みました。そして初めて読んだのが、新見南吉の「おじいさんのランプ」、「ごん狐」、「最後の胡弓弾き」、「手袋を買いに」です。どれも心に残る作品で、電子BOOKを毛嫌いしてはいけないと思いました。
電子BOOKは、スイッチを入れると「大人の書斎日本の名作300」と出てきます。
古志の国文学館で開催された「生誕90年 井上ひさし展」の最終日に再度訪れ、井上ひさしの本を21点、31,059円買い込みましたが、初日に2点買っているので23点になります。すべてベッドの横の紙袋に入ったままです。電子BOOKも井上ひさしも、いつ読み終えられるかは分かりませんが、毎日の晩酌の量を控えて、読書時間を確保することにし、人生を楽しみましょう。