プロに出会った

2018.10.02

10月4日から3日間、富山市建設業協会の旅行に参加しました。

 見学したのは、初日が東京オリンピックのための新国立競技場と海の森水上競技場の建設現場、そして迎賓館、二日目は千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館と成田山新勝寺、三日目が鎌倉の円覚寺と鶴岡八幡宮でしたが、それぞれに見所があり、初日の夜の、浅草で芸者と幇間(ほうかん)の芸を楽しみながらの宴会も楽しいものでした。

 しかし、今回の旅行の一番の想い出は、私が乗ったバスのガイドさんの案内でした。

 私は、観光バス会社「東京パッセンジャー」の黄色い3台のバスの2号車に乗りましたが、この2号車のバスガイドが、3人のバスガイドの中では最年長と一目で分かる中澤秀子さんでした。

 発車して最初の「私は父が60歳、母が49歳の時の子供で、8人兄弟の末っ子。母は19歳で長野から家出し11歳年上の父と出会い、最初の子を妊娠した。その一番上の姉は80歳を超えているが、秀子という名前は、その姉が高峰秀子のファンだったので、末っ子の私の名前を秀子にしました」との自己紹介に、このバスガイドさんは50歳を超えているのだと分かりましたが、何とも印象に残る自己紹介だと感心しました。そして自分もこんな風に印象に残る自己紹介をしたいものだと思いました。

 二日目の出発の時には、「昨日、私の名前の秀子は高峰秀子の秀子から付けられたと言いましたが、実際は高峰秀子の秀子ではなく、ヒデーエ子が名前の由来。父が経営していた老舗の観光バス会社内山観光を身売りして、家計が苦しいときに生まれたので、ヒデーエ子から秀子と名づけられました」と、笑いを取りながら初日の話を上手に展開させたのに、またまた感心させられました。

 そして三日目。案内中に時々咳き込んでいたのですが、「両親が歳とっての子なので、小さい時から小児喘息で、今日のように雨が降るとエヘン虫が出てきます」と、初日と二日目に話した自分の生い立ちを絡めて咳き込みを説明しました。これを聞くと咳払いが気にならなくなりましたが、生い立ちの話を、何とも上手に状況に応じて使うものだと感服しました。

 もちろん観光案内も上手でした。初日に荒川を通ったときには「全国に荒川は47あるが富山県にも2つあって、一つは小川温泉の側」との説明に、富山県のことをしっかり調べていると思いましたが、富山県と富山市の人口も暗記していました。乗客の出身地を考えた上でのガイドだとこれにも感心しました。

 二日目は千葉県でしたが、「千葉県の知事はタレントだった森田健作さんですが、千葉県の投票率は良くない。それは千葉都民と言われる東京で働き千葉県では寝るだけの住民が多く、千葉県のことに関心を持っていないから」という話や、自分で手描きした千葉県の形のマスコットキャラクター「チーバくん」を見せながら、日本で最初の私立病院の順天堂医院(開院以来、病院ではなく医院の呼称を使っている)は佐倉市に出来たこと、日本地図を作った伊能忠敬が千葉県九十九里町の出身で、この日本地図を見て英国人は日本を植民地にすることを諦めたという話、長嶋茂雄は佐倉市の出身、江戸時代の佐倉藩領の義民木内惣五郎(佐倉惣五郎)の話、歌舞伎役者の初代市川団十郎が成田山新勝寺の近くの出身なので、歌舞伎で市川団十郎が登場すると「成田屋!」と掛け声をかけるなどの興味深い話に、すっかり千葉県のことを知ったつもりになりました。

 歌も歌ってくれました。小さい頃に聞いた初代コロンビア・ローズの「東京のバスガール」、そして三代目コロンビア・ローズの、東京タワーが出てくる「夢のバスガール」、上手でした。

 小咄やクイズでも喜ばせてくれ、常願寺川上流で生まれたという昔話「ささこじぞう」の朗読では、おじいさんとおばあさんの声を使い分け、まるで声優のような語り口でした。

 最終日に羽田空港に向かっているとき、「バスが走っている高速道路はJFEの敷地内を通っているが、平成14年に日本鋼管と川崎製鉄が合併してJFEとなった。JはJapan、Feは鉄の元素記号、Eはエンジニアリングを組み合わせたもの」という説明に、大学時代の柔道部同期の親友が日本鋼管に就職していたので、彼を思い出しながらこの説明を聞いていました。

 羽田空港の手前で、「以前通った宇奈月温泉、小川温泉、金太郎温泉、今は高速で通り過ぎてしまうけれど、トロッコで黒部峡谷を奥まで行ってみたい」と富山県の話をしてから、「一杯いっぱいお叱りを受けたことを心に留めます」との最後のことばに、こんなに楽しませてくれたのに、何と謙虚な言葉かと感動しました。「お叱り」とは、最終日の道順を、前日に自宅で模造紙に手描きした地図を使って説明した際に、旅行会社の勘違いから昼食場所を鶴岡八幡宮から歩いてさほどではない場所をプロットしていたため、実際には鎌倉の町をずいぶん歩かなければいけなくなったこと一つだけだと思います。でも、旅行会社のミスであってもきちんと謝る、プロの仕事とはこういうことなのだろうと思いました。

 羽田空港に着いてバスを離れるときに、秀子さんをハグして、プロに出会えた感謝の気持ちを表しました(ハグすることは、事前通告していました)。

1日5分!「ゲラゲラ筋」を鍛えましょう

2018.09.02

9月4日の富山新聞を読んでいたら、私の義兄(妻の姉の夫)である文苑堂書店吉岡会長兼社長が「笑いヨガ」講座のチラシを持ってにこやかに笑っている写真が目に飛び込んできました。「健康づくり 書店が応援」の見出しの記事には、翌5日に「健康生活応援教養講座」の一環として、文苑堂書店の豊田店で行われる、笑いながら体を動かす「笑いヨガ」紹介されていました。


 私は以前、ガン患者に吉本喜劇を観せたら、ガン細胞が減ったという話を聞いたことがあります。また、朝から不機嫌そうな顔をした社員を見ると、「出社前に夫婦喧嘩でもしたのだろうか?」と余計な心配をしてしまうので、この講座への参加を即決しました。


 講座はウイークデーの日中の開催ということで、参加は私一人男性であとは中年の女性5人でした。1時間の講座の中で、男性と女性の2人の講師による説明と実演を交えながら約20種類の笑いヨガを体験しましたが、終わる頃にはかなり汗をかいていました。


 このコラムのタイトル『5分!「ゲラゲラ筋」を鍛えましょう』は、講座が終わって購入した、インドで笑いヨガを学び、帰国後日本笑いヨガ協会を設立した高田佳子さんの著書「大人の笑トレ」のサブタイトルです。


 会社に戻り早速、最初に習った基本動作を実践しました。総務部に入るときに、左右に手拍子しながら「ホ、ホ」、「ハハハ」と3回繰り返して言ったあとに「イェーイ」と言いながら両手を上に伸ばしたのです。あさひホームの朝の申し送りでも、介護スタッフに話して一緒に「イェーイ」とやりました。


 この本の「はじめに」に、「人は楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなる」とありますが、私が尊敬する中村天風師(日本初のヨガ行者。天風会を創始し、心身統一法を広めた)も、「おかしくとも何ともないときに、嘘でもいいから笑ってごらん」と言っています。そして「喜びや、楽しみや、ほほえみは、どんなに大げさにしてもいいんだよ」とも言っています。


 また、この本の中の「笑いと健康」と題するコラムで、奈良県立医科大学臨床教授の福岡篤彦さんが笑いが健康に良い影響があるとして、①精神・心理学的影響(笑いは人生の満足度を上げ、痛みのある人では痛みを感じにくくする効果)、②心臓・循環器系への影響(笑いは血管の柔らかさを保ち、動脈硬化、心筋梗塞、高血圧の予防、再発防止に効果)、③糖尿病への影響(笑うことで食後過血糖が抑えられる)、④免疫力〔感染症やガンから体を守るシステム〕に良い影響(細菌やガンをやっつける最初の段階で関わるナチュラルキラー〔NK〕細胞の活性化)が、科学的に証明されつつあると書いています。


 私が作り、毎朝職員が唱和している朝日ケアの運営理念は、「私たちの仕事はお年寄りに満足してもらうこと。満足を測るものさしの一つに心からの笑顔がある。この笑顔とは、お年寄りだけではなく、家族も介護スタッフも地域住民も含んだ皆の笑顔である。」ですが、この講座を聴き、良い運営理念だと一人悦に入っています。


 中村天風師は「あなた方、ニコニコ笑顔の人のそばにいるのと、むずかしいしかめっつらしている人のそばにいるのと、どっちが気持ちいいか」とも言っていますが全く同感です。これからは「笑いヨガ」を実践し、もっともっと笑顔でいたいと思いますし、皆さんにもこの本をお勧めし、当社の社員全員がニコニコの笑顔になることを願っています。

国語力を高めよう!

2018.08.02

8月の朝礼は「国語力を高めよう!」のタイトルでお話しました。今月のコラムはこの朝礼の原稿ですが、手抜きではありません。朝礼に、現場の都合で参加できなかった社員にもぜひ考えてもらいたい内容だからです。内容は以下の通りです。
 このタイトルにしたのは、私の子ども全員が通った呉羽小学校の児童が作成したチラシに「たかが命、されど命」と書かれていたことにショックを受けたからです。妻から、長男がこのチラシを見て、この言葉に「これはないよ」と怒っていたと聞き、私もチラシを見た途端「これはこのまま放ってはおけない」と思いました。
 「たかが○○、されど○○」の「たかが」の後に来る言葉は、「たかが百円、されど百円」というように価値の小さいものがくるのであって、価値の高いもの、それも一番大切な命を持ってくるとは何事かと思ったのでした。
 私は、中学校の課外授業でも富山大学経済学部で行う講義でも、冒頭にアンパンマンマーチの歌詞「何のために生まれて、何をして生きるのか」を映し、昨年105歳で亡くなられた聖路加国際病院の日野原重明先生が、小学5年生に行ってきた「いのちの授業」で必ず話された「いのちとは自分が使うことのできる時間」を紹介し、命=時間を自分のためだけではなく、世のため人のために有意義に使おう、という先生の思いを伝えてきただけに、「たかが命」になおさら憤りを感じたのです。
 会社に行く途中、呉羽小学校に「注意したいことがある」と電話し、事務員に代わった校長先生に次のように話しました。「チラシのテーマは“今すぐできる地震対策”で、内容もいろいろ調べてあって良いのだが、裏面のトップに「たかが命、されど命」と書いてあり、これがこのまま町内に配られたのはどういうことか?児童は、こんな言葉も知っているよと自慢気に使ってみたかったのだろう。しかし、クラス担任が原稿に目を通していると思うが、何も注意せずにそのまま配布させたとすれば、この先生の国語力が低いと思わざるをえない。これを見て不適切な表現だと気づいた呉羽小学校下の住民は、呉羽小学校の教育力に不信感を抱くのではないか」と話したのです。校長先生は「自分はそのチラシは見ていないが、指導が行き届いていなくて申し訳ありません」と応えられました。
 私はこの由々しき話を、会社で社員に、また知人に話しましたが、あまり共感を得られない、それどころかおかしいとは思わないという反応さえあり、愕然としました。
 言葉の意味が時代とともに変わっていくことは理解しています。しかし「情けは人の為ならず」を「人に情けをかけるとその人のためにならない」というように間違って解釈してはダメです。「たかが○○」もそうです。国語力を高め、正しい日本語の使い方をしたいものです。
 ベストセラーになった「国家の品格」の著者の、数学者であり作家である藤原正彦さんが、小学校から英語を教えることは日本を滅ぼすもっとも確実な方法であると、小学校からの英語教育必修化を批判して「一に国語、二に国語、三四がなくて五に算数。あとは十以下」と述べていますが、私はこの主張に大いに共感しています。
 政治家でも、間違った言葉を使ってマスコミにたたかれる人はたくさんいます。麻生太郎さんが総理大臣時代に「未曾有(みぞう)」を「みぞうゆう」と言って「漫画ばかり読んでいるからだ」と揶揄されましたが、安倍総理も「云々(うんぬん)」を「でんでん(伝々)」と誤読し、民進党の議員が「でんでん虫、虫、安倍ソーリ♪」と揶揄したと聞きました。人の間違いを面白おかしくからかうのはいかがなものかと思いますが、やはり一国のトップは、言葉に注意を払って欲しいものです。
 人はそれぞれに、知識レベルや学びの経験も違いますが、子どもでも大人でも正しい日本語を使うという姿勢を持ち続けていただきたいと思います。そして、そのためには、読書し新聞を読み、知らない言葉に出会ったら必ず辞書で調べることです。
 美しい日本語を、継承していきましょう。