3月25日の土曜日に高志の国文学館で、4月に館長を退任される中西進先生の「中西進のメッセージ」を聴きました。講演だと思って入場したら、聴講者の椅子の上に置いてあったA4裏表1枚の資料「中西進選三編」に書かれた3つの詩について、富山の詩人の池田瑛子さんが聞き手となっての対談でした。
以下に、スマホにメモしたことを記します。最初の詩は、永瀬清子の「あけがたにくる人よ」です。
① 詩は良いですね、と言い合いましょう
② 詩とは何か 八木重吉 「素朴な琴」
③ 田中冬二 「ふるさとにて」
メモは以上ですが、最後に中西先生は、「富山は来る前も来てからも排他的だと言われたが、そうではなかった。私は小さい時から楽天的で、転校生として散々いじめられたが、富山の人は私を受け入れてくださった。12年間、無害の虫だと思われたのかもしれませんが」と、いつものユーモアで話を終えられました。
宮沢賢治の詩が大好きな私ですが、詩の感じ方についての理解が深まったように思った1時間半でした。
来月は、高志の国文学館の書籍販売コーナーで買った中西先生の著「卒寿の自画像-わが人生の賛歌」で知った、言葉の意味について書きましょう。
今月のタイトル「そばかす」は、今年ほとり座で観た16本目の映画です。
先月のタイトル「チョコレートな人々」の後にほとり座で、「冬の旅」、「㊙色情めす市場」(日活ロマンポルノ作品の中でも最高傑作と呼び声の高い作品)、「天上の花」、韓国の監督の作品「郡山」、「福岡」、「柳川」、そして富山民芸協会が開催した「寝屋子-海から生まれた家族」、さらに「ただいま、つなかん」、「ドリーム・ホース」の9本観ました。
「ただいま、つなかん」は、東日本大震災が発生した3月11日に観ました。3.11後に気仙沼市の自宅を片づけに来てくれたボランティアの大学生と、後にワカメ漁に出ていた夫と30歳の娘さん、そして末娘の夫で24歳のお婿さんの3人を船の転覆で亡くしましたが民宿として再出発する、この家のとても明るい菅野一代さんとの10年間にわたる交流の実話です。
「ドリーム・ホース」は、イギリス・ウエールズの谷あいの小さな村で、村人が週10ポンドずつ出し合って共同馬主になって競走馬を育て、「ドリーム・アライアンス(夢の同盟)」と名付けられた馬が奇跡的にレースに勝ち進んでいくという物語です。これも実話を元にしていて、大怪我から回復した直後の大レースで逆転優勝するという感動的な映画でした。
さて、「ただいま、つなかん」を観た翌日に「そばかす」を観ました。この映画は、第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」に出演し、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した三浦透子の単独初主演作品です。
ストーリーをネットから紹介すると、
私・蘇畑佳純(そばたかすみ)、30歳。
チェリストになる夢を諦めて実家にもどってはや数年。コールセンターで働きながら単調な毎日を過ごしている。
母は、私に恋人がいないことを嘆き、勝手にお見合いをセッティングする。
私は恋愛したいという気持ちがわかない。だからって寂しくないし、ひとりでも十分幸せだ。でも周りはそれを信じてくれない。
恋する気持ちは知らないけれど、ひとりぼっちじゃない。大変なこともあるけれど、きっと、ずっと、大丈夫。
進め、自分。
先月の「チョコレートな人々」の最後に「しかし『チョコレートの人々』を観て、当社ではこれまで、社員の性格や人間性、生い立ちや境遇、能力や適性などに応じてきめ細かく配慮して仕事を与え指導をしてきたのだろうかと疑問に思いました。当社の70人ほどの社員は一人として同じ人はいません。当社の多様な人たちが働きやすい職場づくりを考えなければいけないと思います。」と書きましたが、今回「そばかす」を観て、人は一人として同じ人はいないのだと、改めて思わされました。
これは、私が尊敬する中村天風師の考え方「絶対積極(ぜったいせつぎょく)」に通じるとも思いました。自分を他人と比べる必要はない、目標にすることはあっても、自分は自分で進んでいけばよいのです。
観終わって、エレベーターの中で一緒になった中年の男性に「良い映画でしたね」と声をかけたところ、「最後のシーンで、うつ病だった主人公の父親が治ってよかった。自分もうつ病だった」と言われました。映画はいろんなところで人の心に響くものなのだと思いながら駐車場に向かいました。
先月のコラムのタイトルは「81+5=86」で、「これは去年1年間に観た映画の本数です。81は富山市総曲輪にあるほとり座で、5はJMAX THEATERとやまでの2本と、サンシップと高岡の会場とインテックビルです。」と書き出しました。
今月のタイトル「チョコレートな人々」は、今年ほとり座で観た11本目の映画です。
観た順に、1月は「幕末太陽傳」、「金の糸」、「ホワイトノイズ」、「丹下左膳余話」、「ケイコ目を澄ませて」の5本で、新型コロナウイルスに感染して2本見損ないました。
2月は昨日18日まで、「パリ・テキサス」、「都会のアリス」、「さすらい」、「まわり道」、「よだかの片想い」、「はだかのゆめ」、そして「チョコレートな人々」の7本ですが、今日はこの後、高志の国文学館で「伊豆の踊り子」、その後ほとり座で「冬の旅」を観ます。23日と26日も1本ずつ予定していますので、今月はほとり座で9本と他の会場で1本、先月のタイトル風に書けば、10+1=11です。
今年になって観た映画は、洋画が7本、邦画が9本の16本ですが、つまらなくて「時間を返せ!」と言いたくなった「はだかのゆめ」以外は、それぞれ心に残る映画でした。洋画では、同じ監督が作った三部作「都会のアリス」、「まわり道」、「さすらい」がストーリーの面白さと俳優の演技に魅了されましたが、邦画では、左の頬に痣がある大学院生の女性の恋を描いた「よだかの片想い」と、耳が聞こえない女性プロボクサーが主人公の「ケイコ目を澄ませて」、そして、当初は観る予定に入れていなかった「チョコレートな人々」の3本が特に良かったです。
「チョコレートな人々」のストーリーはチラシを引用すると、「愛知県豊橋市の街角にある「久遠チョコレート」。世界各地のカカオと、生産者の顔が見えるこだわりのフレーバー。品のよい甘さと彩り豊かなデザインで、たちまち多くのファンができました。(中略)代表の夏目浩次さんたちスタッフは、彼らが作るチョコレートのように、考え方がユニークでカラフル。心や体に障がいがある人、シングルペアレントや不登校経験者、セクシュアルマイノリティなど多様な人たちが働きやすく、しっかり稼ぐことができる職場づくりを続けてきました。 (後略)
この映画をぜひ観るようにと勧めてくれたのは、ほとり座のプログラム編成責任者の樋口裕重子さんです。観終わって、樋口さんに勧めてもらってよかったと思い、社員に対するこれまでの私の考え方を反省しました。
「チョコレートの人々」を観て、当社ではこれまで、社員の性格や人間性、生い立ちや境遇、能力や適性などに応じてきめ細かく配慮して仕事を与え指導をしてきたのだろうかと疑問に思いました。当社の70人ほどの社員は一人として同じ人はいません。当社の多様な人たちが働きやすい職場づくりを考えなければいけないと思います。富山市の新庄にも久遠チョコレートの店があるとのことなので、ここでチョコレートを買い、食べながらみんなで話し合いましょう。