富山大学での講義を終えて

2016.05.23

先月のこのコラム「富山大学で講義」では、富山新聞文化センターの寄付講座「現場の経営学:地域企業の経営者から学ぶ」の講師として、5月11日(水)の4回目の講座を担当することになったこと、そして、講義では最初に「アンパンマンのマーチ」の歌詞をスライドで映し出して、学生たちに「何の為に生まれて、何をして生きたいのか」と問いかけ、その後に、富山経済同友会が行っている中学校での課外授業で、私がこれまで使ってきたスライドを大学生向けにアレンジして「学ぶこと」や「働くこと」について考えさせ、後半で、当社の歴史や経営理念、土木事業の重要性などについて話そうと考えていると書きました。

 講義のタイトルを「私の経営感」と定め、Macの keynoteで作成を始めたスライドは、11日の当日も、午前中も午後もMacにかじりついて何とか午後2時に完成しました。スライド枚数が60分の講義には多すぎる119枚となりましたが、何とかなるだろうと高をくくって、4時半からの講義に臨みました。60分講義し30分質疑応答というスケジュールでしたが、案の定60分ではとても終わらず、80分かけてようやくスライドが終了しました。

 私は、今回の講義を、当社の施工検討会で用いているODSC(O=Objectives:目的、D=Deliverables:成果物、SC=Success Criteria:成功基準)を念頭に行いましたが、目的の一つであった「プレゼンテーションのためのkeynoteによるスライド作成の上達」においては、出来はまあまあながら、成果物であるスライドは枚数が多すぎたことによって、「講義時間内で内容のあるプレゼンテーションが出来た」という成功基準を達成できなかったと自己判断しています。

 しかし、「学生たちに日本の将来を担う人間になってもらいたいという願いを込めた講義にしたい、そのためには、何の為に生まれて、何をして生きたいのかと考えさせる」という最大の目的と、「学生が真面目に聴いてくれた90分間の講義」という成果物に対する成功基準は、後日送られてきた感想文を読み、十分に達成できたのではないかと思いました。以下に2つの感想文を紹介します。

 一つ目は「『ばい菌一匹でも、目的無くこの世に出てきたものは無い(中村天風)』この言葉がとても印象に残りました。私自身、何のために生きているのかということを考えます。しかし考えるたびに生きている意味なんて無いと思ってしまいます。より深い人生を送るために、何をすればいいのかを考えることがあります。しかし、いつも答えのないまま生きてきました。しかし今回先生の話を聞いて、その答えは見つかりませんでしたが、何か自分の中で変えるきっかけになった気がします。お金持ちになるとかではなく、自分が死ぬときに幸せだったと思えるように生きたいと思いました。」。そして二つ目は「自分では命のことについて経営学と絡めて考えたことはなかったので、いきなり導入部に出てきてびっくりしました。しかし、話が進んでいくことで、今回の講義のタイトルが非常に重要で関わり深いという風に思いました。林社長の経営感は、人を大切にしようという意志がしっかり前面にあると思います。そうやって生きる時間というものがより輝くのではないでしょうか。命の話はこれにつなげるための話としてだけではなく、これだけにしても大切ですが、林社長は私達に精一杯生きることを教えてくださいました。そして経営理念ではその裏づけをして訴えかけているようでした。僕は感動しました。」。

 「アンパンマンのマーチ」を一緒に歌おうと促しても歌ったのは私だけであり、質問しても手を挙げる学生がいないので指名して発言させ、最後の質疑応答でも質問者は2人だけという90分間でしたので、どれだけ分かってくれたのだろうかといささか不安に思いながら講義を終えました。しかし、私が講義で伝えたいと思ったポイントが、多くの学生の感想文に取り上げられていましたし、ここに紹介した感想文を読んだ時には、「何の為に生まれて、何をして生きたいのかと考えさせる」という最大の目的に対する成功基準が達成されたと嬉しく思いました。

 反省すべき点は幾つもありますが、全体としては満足できる講義が行え、脳みそに汗して作ったスライドは私の財産になりました。この後、感想文に書かれていた幾つかの質問に答えれば、今回の私の講義が完全に終了します。

 

「アンパンマンのマーチ」を歌う社長
講義を受ける学生達
講義中の社長