寄付行為について考える

2021.04.26

    今年2月の第2週に、10年ぶりに税務調査を受けましたが、2日間と半日弱の調査を終え「しっかり経理されています」とお褒めの言葉をいただきました。そこで、毎月一度来社し、経理伝票のチェックやアドバイスをしてくださる担当の税理士さんと、この税理士さんが働く税理士事務所の所長さん、そして今回の税務調査に立ち合ってくださった税理士さんがたと一席設け懇談しました。


 その席で、私が朝乃山富山後援会の副会長を務めていることを知っている担当税理士さんが、「来月始まる大相撲春場所で、朝乃山の取組みに朝日建設の懸賞金をかけたらどうですか。寄付金として損金にも参入されることだし」と言うのです。その言葉に、レモンイエローの「朝日建設」の懸賞旗を作り、朝乃山の取組みに限って懸賞金をかければ、テレビに映された当社の懸賞旗を観た富山県の人は、富山市の朝日建設だとすぐにわかるだろうし、前期と同様この6月も好決算が予想されるので節税にもなり良いなあと思いました。このやりとりを聞いていた所長さんは、「林さんが出されるなら、私も個人で『ありがとう村』の懸賞を出しますよ」と、とんとん拍子に話が決まり、翌日には後援会理事長に連絡し、後援会経由で懸賞金を2本出すことにしました。レモンイエローの懸賞旗が2本揃って土俵上を回れば、インパクトが強いと思ったのです。懸賞金は1本7万円なので、15日間で30本かけると210万円になりますが、宣伝と節税になるのだから良いだろうと思いながら、ネットで調べた東京の染物屋さんと打ち合わせして懸賞旗を発注しました。そして日本相撲協会に210万円の振り込みを済ませ、3月14日の大相撲春場所初日を心待ちしたのです。


 朝乃山の成績は皆さんご承知の通り、千秋楽に同じ大関の正代に勝って、何とか大関の責任の10勝に届きました。しかし、NHKテレビの実況中継を毎日目を凝らして観ていましたが、初日は、出番を花道で待つ白鵬を映し、他の日も、朝乃山の取組みの前の相撲をビデオで解説したりで、当社の懸賞旗がチラッと映ったのは2日だけでした。考えてみれば、公共放送のNHKが、土俵上を回る懸賞旗をしっかり映す訳がないのです。なんとも考えが浅かったと反省しました。ただ唯一の慰めは、終盤戦に入った3月25日の北日本新聞で、当社のレモンイエローの懸賞旗2本と「ありがとう村」の赤色の懸賞旗1本が続いて回っている写真が「勝ち越しが懸かる一番に多くの懸賞旗が土俵を回る」という見出しと共に掲載され、それがあさひホームのグループホームに貼ってあったことでした。


 春場所が終わって、今回の朝乃山への寄付を通して思ったことは、会社の寄付は宣伝効果を狙ってするものではないということ、そして、儲かったからするというものでもないことの2点です。


 私は長年、個人で色んな組織に寄付をしています。発展途上国の子供たち、特に女の子を支援する「プラン・ジャパン」、難民の子供達を支援する「国際UNHCR協会」、生命の危機に直面している人びとへの医療・人道援助活動を行っている「国境なき医師団日本」、富山県善意銀行、そして東南アジアからの留学生を支援する「ロータリー米山奨学会」です。これらの個人寄付は何万円かずつですが、毎年コンスタントに行っているもので、米山奨学会への寄付は、一年間10万円を目標にコツコツ貯めた五百円玉貯金で行っています。


 会社からの寄付も、個人で行っているのと同じ組織にそれぞれ20万円から30万円ほど行っていて、好決算の時には多く寄付しています。その中で富山県善意銀行には、昨年から隔月に5万円ずつ寄付することにしましたが、次年度からは他の組織への寄付も、私個人の寄付や富山県善意銀行への寄付のように、宣伝や節税の思惑なく毎年コンスタントに行いたいと思います。

 
 もっとも、赤字決算で寄付するわけにはいきませんが。

  
(補足)ありがとう村は、経営や生活の中での困りごとが一ヶ所で問題解決できるよう、会計・税務・経営・社会保険・不動産・登記等の専門家たちが、皆様の相談に乗っています。