~早く絶版になってほしい~#駄言辞典          02 なぜ『駄言』が生まれるか

2022.02.28

 先月のコラムは、~早く絶版になってほしい~#駄言辞典と題して、第1章“01 実際にあった「駄言」リスト”に載った幾つかの駄言を紹介し私の感想を記しました。今月は第2章“02 なぜ『駄言』が生まれるか”でのキーパーソン6名にインタビューした内容で、印象深かったコメントと私の感想を述べます。

      

 6名のキーパーソンは、スプツニ子!(アーティスト/東京芸術大学デザイン科准教授)、出口治朗(立命館アジア太平洋大学学長)、及川美紀(ポーラ社長)、杉山文野(NPO法人東京レインボープライド共同代表理事)、野田聖子(自由民主党幹事長代行)、青野慶久(サイボウズ社長)です。

     

 まずスプツ二子さんの「美人≠頭がいい」⁉は、日本の大企業の役職ある男性から、「スプツニ子さんは美人だから、こんなに頭が良くて大学の先生をされているなんて思っていませんでしたよ!」と言われ、「その発言、褒めているつもりでも全然ダメですよ」と笑顔で返したが、意味を理解してもらえたか分からなかった、という話です。美人と思うかどうかはかなり主観的なものですし、女性でも男性でも、頭の良い人というか知的な人は良い顔をしていると思います。また「美人≠頭がいい」が正しければ、大学の先生は、美人でもハンサムでもない人がなっているということにもなってしまい、当然ながら間違っていると思いました。

     

 出口治朗さんは、「歴史的に見ると、実は日本は女性が強い国」であるとして、日本の天皇家の祖先とされるのは女性の天照(あまてらす)であり、日本という国号、天皇という称号を作ったのは女性天皇の持統天皇であり、江戸時代にも、6代家宣の妻、天英院の鶴の一声で8代吉宗が決まったとのことです。明治時代に国民国家をつくるために朱子学のロジックを借りて作られたものが男尊女卑という出口さんの説は、初耳でした。さらに、男性が育児休業を取得すべき理由は、赤ちゃんをお世話することでオキシトシンというホルモンが分泌し、家族愛を持った父親になるためであり、少なくとも1か月くらいは休んで、育児を主体的に担うべきだとの話に共感して、2月19日の経営戦略会議で、2月14日に第一子の女の子が生まれた電気工事部のKさんが1か月の育児休業を取るよう、電気工事部長に指示しました。

     

 及川美紀さんのインタビューでは、他社の男性役員からよく聞く「うちの会社の女性たちは課長という仕事にどうも魅力を感じていないらしい」は、言い換えれば「当社は女性が管理職になれる環境をつくっていません」と言っているのと同じこと、そして「女性は・・・・」とくくることに違和感を持つとして、「女性には管理職になることに不安を持つ人が多い」というのであれば分かると話しています。女性社員の絶対数が少ない当社ですが、男女の比率は関係なく女性管理職になれる環境をつくっていかなければいけないと思いました。

      

 トランスジェンダーである杉山文野さんは、「男らしさ」「女らしさ」「トランスジェンダーらしさ」の押しつけはいらない。欲しいのは「自分らしさ」と話し、駄言の裏側には何らかの偏見があるはずで、一番いけないのは、その偏見に気づかないことであり、「自分は大丈夫」と思わないのが第一歩、という言葉には、私自身、反省させられました。

      

 野田聖子さんは、女性と政治にまつわる3つの駄言として、「女性政策」「子育てと仕事の両立は?」という質問、そして「女性活躍」という言葉をあげています。 「女性政策」という言葉は「すべての国民の政策」なのに、頭に「女性」とつけられ矮小化され、男性議員がそれを口実に「俺には関係ない」と言って仲間に入ってくれないのが実態とのこと。

 「子育てと仕事の両立は?」という質問では、役職に就いた女性にのみ聞かれる質問で、子育ては女性がするもので、仕事というオプションがついたらその両立が果たしてできるかと周りは思ってしまうのだろうということです。当社の総務部には、保育園児や小学生のお子さんを育てながら働く二人の女性がいますが、二人とも時短勤務しながらしっかり仕事をしています。

      

 「女性活躍」については、37歳で郵政大臣になったとき、男性の先輩議員から「これで郵政省も軽くなったな」「スカートを履いてりゃ、大臣になれるんだな」と言われたときには、さすがに腹が立ったと話しています。こんなにレベルの低い男性議員がいるのかと情けなくなり、先日観た映画「香川1区」の立憲民主党の小川淳也議員とは雲泥の差の自民党議員だと思いました。     

    

青野慶久さんに、仕事内容に関する古いステレオタイプについて聞いたところ、「プログラミングなんて自分でしちゃダメだよ」という人たちは「ソフトウェアが生み出す付加価値」を理解しておらず、「世界を変えていくのはソフトウェアなんだから、ソフトウェアは自分たちで作らないと」という発想が大事なんです、と答えています。そして「これから20~30年の間、古い価値観から抜け出すことができなければ、日本という国はさらにズブズブと沈没していくと思います」とも言っています。私はどんな業種においてもDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組まない企業は確実に落ちこぼれていくと思っています。当社における喫緊の課題です。

 以上、非常に経営に役立つ#駄言辞典第2章でした。