クロスケのこと

2022.07.26

 6月の最終日曜日にほとり座に出かけましたが、ほとり座以外でも3本観ていますので、今月は9回の映画館通いでした。

      

 6月最後の映画はほとり座での「シバ 縄文犬のゆめ」で、ストーリーは、天然記念物柴犬保存会会長の照井さんが、縄文時代に私たちの先祖が狩りの戦友として暮らしを共にしてきた日本犬を理想に掲げ、柴犬をその理想に戻す保存活動に、仲間たちと半世紀にわたって取り組んできたヒューマンドキュメンタリーです。

      

 観終わって、ついつい我が家の柴犬の雑種クロスケと比べてしまいました。2009年9月2日生まれの12歳で、一般的な柴犬の雄の体重は8~11キログラムですが、クロスケは15キロほどもあります。朝の散歩は私、夕方の散歩はもっぱら妻がしますが、クロスケは力が強く、妻は引っ張られて転んだこともありました。クロスケの母親のことは2007年10月号「ガールフレンドができた」に、ハナが産んだ5匹の子犬のことは2009年の9月と10月に「初孫誕生―その1-」、「その2―」として書いていますが、一番やんちゃだったクロスケは残しました。犬を飼う名目が私の健康管理だったので、2匹になるとなおさら健康管理に効果的だという理屈もありました。    

      

 このクロスケ、小さいときはとても臆病で、我が家の近くの介護事業所「あさひホーム吉作」に連れていくと、テーブルの下に潜り込んだのは良いが、前からは出られなくお尻から後ずさりして出てきました。また、側溝を跳び越せず、グレーチングがかけてあってもダメでした。

      

 こんな臆病なクロスケでしたが、その後は何にでも好奇心や攻撃精神が旺盛になり、何を見つけたのかなと思うと、クロスケの目線の先の梨畑には雉や狸がいて、100メートルほど先の丘に狐がいたこともありました。自分の父親である柴犬ダンの飼い主の奥さんが、クロスケの頭をなでようとして右の手首を噛まれて大量出血し、救急病院にお連れして傷口を縫った後1か月ほど妻が毎日被害者の奥さんを車で整形外科に連れて行ったこともありました。奥さんの休業補償も含めた慰謝料を払って解決しましたが、なぜ噛みついたのかいまだに謎です。

      

 また、リードを引っ張ってもなかなかついてこないときは、必ず遠くに犬を連れている人がいます。犬は「鼻で考える動物」といわれ人間の3,000倍から1万倍の嗅覚力を持つと言われていますが、嗅覚なのでしょうね。

      

 母親のハナは今年1月4日に14歳で死にました。死ぬ前の2、3か月はおしっこやウンチを外でしなくなり、玄関に紙パットを敷き詰めていました。散歩もしたがらず、何とか連れ出しても側溝に落ちたり、途中でへたり込んだりして動かなくなるなど、明らかに余命いくばくもない状態になりました。12歳のクロスケは、毎日散歩と食事以外はひたすら寝ているだけですが、今のところは腎臓が少し悪いのと、散歩中に時々右の後ろ脚が震える程度で元気です。

      

 2週間ほど前までは、朝の4時半になると玄関で「キューン、キューン」、「ワォン、ワォン」と吠えるので、玄関横の寝室で寝ている私はたまらずに様子を見に行き叱ったり(効果はありませんが)、下駄箱の上のオルゴールを鳴らしたりしました。これは今年になってからのことです。

      

 映画で見た天然記念物の柴犬たちとは違いますが、クロスケは我が家の大切な一員です。私が喜寿になるまで後2年、願わくは傘寿になるまで後5年は毎朝一緒に散歩をしたいものです。