グレイとクロ(スケ)

2022.11.25

 新聞での本の紹介欄を見て買ったのが、愛蔵版「グレイがまってるから」という405ページもある分厚い本です。定価は税込み2,420円で、いせひでこ(伊勢英子)という1947年生まれの画家・絵本作家が書いています。

本の帯には

「犬、ひとと会う。―30年の軌跡 

 シベリアンハスキーのグレイ。犬が歩いたあとを、絵描きは目を掃除機にして拾い歩いた。表情、行動、季節のうつろい・・・・・・

 迎え入れ~看取りまでの、絵描き家族との5年のいとなみ。愛犬ものがたり三部作に、あらたなスケッチ・エッセイをそえて集大成した愛蔵版。」

とありました。

      

 我が家には、クロスケという名の9月に13歳になったやや黒っぽい色の柴犬のミックスがいるので、5歳で死んでしまったグレイ(灰色)とついつい比べてしまいながら、毎晩寝る前に2か月くらいかけて読みました。

      

 この本の章立ては、◎グレイがまってるから、◎気分はおすわりの日、◎グレイのしっぽ、の3章で、それぞれの章には、そして運命の日がきた、うちのめされて、夜の集会、訓練士とグレイ絵描きとグレイ、ひとりぼっち、失恋、グレイがまってるから、グレイが何をまっていたのかかきそびれた話、発作、てんかん、くすり、アレルギー、うんち、緑陰コンサート、ハイドン、ブラームス、サンサーンス、笑う人笑う犬、グレイの入院、グレイをまちながら、みえない犬、グレイの不安、ヨドコーの犬小屋、インフォームド・コンセンント、在宅ケア、それでも「ね」の顔、夜空の向こう、抜糸、誕生日、ガン、透きとおる羽毛のような巻雲がどこかに向かって急いでいた、空のてんらんかい、1000人のチェロコンサート など惹きつけられるタイトルが105あります。タイトルを書きだしながら、内容を思い出したのもあればどんな話だったろう?読み返してみよう、と思うのもありました。

      

 そして挿絵に添えられた言葉も秀逸です。例えば「さんぽをしていると、時々わけのわからないことを言う人に会うことがある」では、おばさん「犬は犬好きを知る、といってね、わかるんですよ」、グレイ「ぼく、別にこの人のこと好きじゃないけど・・・」にクスリ。「せなかがまるくなって急に年とってみえるグレイ」には、私がクロスケと散歩中に時々会う人ふたりから「背中が丸くなりましたね」と言われ、「10年前に脊柱管狭窄症の手術をしましたが、ここ数年また再発したようで」と答えると、「クロのことです」とふたりともに言われたことを思い出しました。ボクもクロスケも背中が丸いのが共通点。ボクは歩くときは下を向き加減で歩き(前を向いては歩けないのです)、クロスケは何を探すのか鼻が道路にくっつかんばかりにして歩きます。

      

 訓練士が「すわれ」というと1回で正座するのに、絵描きが「すわれ」「おすわり」「すわりなさい」と何度も言われてようやくおかま座りするグレイの挿絵には、我が家のクロスケが「おすわり」をするのは、餌をもらえる時だけだなと思いました。ジンマシンにかかり天狗のような鼻になり「ぼくのかおかわいい?」と言ってる挿絵には「かわいいよ」と言ってやりました。

      

 クロスケの毎朝6時からの散歩と終わってからの餌やりは私で、夕方のそれは主に妻、ときに次女や長男がします。犬は餌をくれる人より散歩させてくれる人が好きだと聞いたことがありますが、クロスケが大好きなのは間違いなく次女です。次女に飛びつくときの嬉しそうな様子は、明らかに次女以外に対する態度とは違います。見ていてほほえましくなります。

      

 妻は、犬や猫は好きではないと言っていましたが、散歩をしてくれ「クロちゃん、何でそんなに鳴いてるの?」とちゃん付けで呼びかけます。私は「クロスケ!」とピシリと呼びます。「仕方がないでしょう」と言いながらも散歩してくれる妻に感謝です。

      

 私はあと5年で80歳、その時クロスケは18歳。最近ネットで20歳まで生きられるとうたったプロテインの白い粉を、高価でしたが買いました。クロスケ、20歳まで生きろよ!