このコラムで映画について書いたのは、昨年は3月の「『禁じられた遊び』とウクライナ」、5月の「『ほとり座』での映画鑑賞」、10月の「こちらあみ子」の3本でしたが、今年に入って既に1月の「81+5」、2月の「チョコレートな人々」、3月の「そばかす」と3カ月連続で書いています。4月、5月は高志の国文学館の中西進館長に就いて書きましたが、今月は執筆する時間が無いので、また映画について書きます。
5月26日からロータリーの世界大会に参加するためオーストラリアに出かけ、5月31日の昼前に帰宅して午後2時間半と6月1日の1日半仕事をし、また社員旅行で1班と2班の両方に3泊4日で参加したので、今年は去年ほど映画を観ていないのかと思っていましたが、今年1月から観た映画は今月のタイトルの「セールス・ガールの考現学」を入れて41本になり、この後も3本観ますので6月末には44本になります。でもこれまでに観た41本の映画のタイトルを見て内容を思い出せるのは10本くらいです。しかし「セールス・ガールの考現学」は来年になっても思い出せる映画になると思います。
この映画は、ほとり座で予告編を観たときから絶対に観ようと決めていました。それはモンゴルでも映画が作られているのだと思ったことと、アダルトグッズ・ショップでアルバイトをする主人公の清楚な女子大学生に対して、謎のオーナーの中年の女性が「セックスショップはポルノ店じゃない。薬局よ」という言葉に興味がひかれたことによります。
モンゴルと聞けば、大関に昇進した霧葉山や元横綱の白鵬や鶴竜、そして朝乃山が6連敗している横綱照ノ富士を思い浮かべ、草原を馬に乗って駆け回る光景を思いますが、この映画の舞台は高層ビルが立ち並ぶモンゴルの首都ウランバートルです。チラシから引用すると「モンゴル映画のイメージを鮮やかに覆す、軽やかで、キュートで、ちょっぴりおかしな成長の物語」であり「自分らしく、自由に生きるためのヒントがいっぱい!新星ヒロインと30年ぶりに銀幕復帰のベテランの最強シスターフッド!」(注:シスターフッドはsisterhoodで、女性間の連帯、女性同士の共感の意味です)。また、「オーナーが繰り出す、機知に富んだアドバイスの数々は説得力抜群です」とあり、人生のプロ、カティア(オーナーの名前)に学ぶ愛と性についての名言集の一つの「ボンヤリしないで。うつむいて自分の靴を眺めている間に、大切な時間は過ぎて行くわ」に、フーテンの寅の言葉「人生についてようく考えろって。ぼけっとしてる間に、あっという間に骸骨になっちゃうんだから、人間は」が重なりました。「若過ぎる成功は害になる。成功するために若さを犠牲にしてはダメよ」に、そうかもしれない、そんな例も身近にあったと思い、「親の言いなりなんてナンセンス。遅かれ早かれ、子供は自立して行くんだから」には、さて自分はどうだったかと思わされました。
こんな風に書けるのも映画を観た後にチラシを持ち帰ったからであり、チラシを読んで映画が伝えたいところを知ることが出来たのです。観ているときは画面に引き込まれ、チラシにあるようなことは思いませんでした。でも、もしチラシを読んでから映画を観たらどうだったかなと思います。深く味わえるかと思いますが、私の場合は「頭で観る」という観かたになって、映画の楽しさが減るのではないかと思います。これからも、毎月の映画予定表にある数行のあらすじで観るか観ないかを判断しましょう。