現金派

2024.07.25

 今月18日の朝日新聞1面コラム「天声人語」は、沖縄の守礼門が描かれた2千円札の話で、このお札が発行されたのは、2000年の明日の日付の7月19日だとありました。スマホで検索したら、きりのいい西暦2000年の到来に世の中が沸き、1000年に一度訪れるミレニアム(千年紀)が流行になった頃のことで、第26回主要国首脳会議(沖縄サミット)を記念して発行が決まったとのことでした。

   

 この筆者が数年前に、現地の宴席で幹事役をしたときに「財布にあるなら出して」と呼び掛けたところ、出るわ出るわで、県内の流通量は右肩上がりだということだったそうです。本土では事情が一変し、先日訪れた東京・王子の「お札と切手の博物館」では、陳列された2千円札を前に、来館者が「まだ使えるんだよね?」と確かめ合っていたそうです。

   

 私の財布にも、このお札が入っていることはありません。先日開催された高校時代の仲間の飲み会で、会費が8,000円だったので1万円出したところ、お釣りにこのお札をもらい、何年ぶりに見ただろうかと思いました。でもこのお札は、代行タクシー料金としてその日のうちに財布から消えました。

   

 「天声人語」の後半「近所のスーパーに少し前、無人レジが導入された。ずらりと並ぶ端末の中で、現金を受け付けるほうが少数派なのには驚かされた。財布はほとんど持ち歩かない、という若い同僚も珍しくない。どうやら、自分のような現金派は、時代遅れになりつつあるらしい。」を読み、この筆者と同じく自分も全くの現金派だと思いました。コラムの最後は、「キャッシュレス化がもっと広がれば、いつかあの世に行く時、三途の川のほとりで渡し賃をとる番人からも言われることだろう。『お支払いはPayPayですか、現金ですか。』やれやれ。」に、笑ってしまいました。

   

 コラムの最後は「時代は変わる。先端を行く人、遅れまいと焦る人。最後尾をのんびりゆきながら、やっと手にした新しいお札を眺める。」でした。

   

 私は常に財布を持ち歩いています。Pay Payには決済手数料がかかると聞いていたので調べると、2021年以降は税別で1.6%もしくは1.98%であり、この数字はわずかだと書かれていました。私は、「わずか」という感覚が気に入りません。Pay Payで払われた店は、わずかであってもPay Pay銀行に手数料を払わなければいけません。Pay Payが使えることで客が増える店もありますが、設置費用や維持費がかさんでやめた店もあるようです。

   

 私が世の中の最後尾であっても現金派であるもう一つの理由は、私が革製品が好きだということです。革のかばんはボストンバックからショルダーバッグまで数個持っていますが、革の財布は10数個持っています。常に持ち歩く財布は、手のひらに収まる非常に機能的な二つ折りの財布です。数年前に買い貫禄が出てきていますが、とあるラーメン屋で支払をした際に、レジの男性が私の財布を見て、「自分も欲しいのだが、今は売っていない。オークションで5万円で出ていたが手が出なかった」と話してくれました。私が買った時は、2万円くらいだったでしょうか。現金派の私には、無くてはならない相棒です。

   

 皆さんは、現金派ですか、Pay Pay派ですか?