選挙

2025.04.25

 昨日4月20日(日)は、富山市長選挙と富山市議会議員選挙の投票日でした。私は呉羽会館で投票を済ませてから、総曲輪のほとり座に向かいました。観た映画は、2022年に製作されたチリ・フランス合作のドキュメンタリー映画「私の想う国」です。

   

 チリ出身のドキュメンタリー映画監督パトリシオ・グスマンが作ったこの映画は「2019年10月、南米のチリの首都サンティアゴで、地下鉄料金が30ペソ値上がりすることへの反対に端を発する民主化運動が突然動きだした。リーダーもイデオロギーもなく爆発的なうねりとなり、人口約1900万人のうち、若者や女性を中心とする約150万人もの人々が、より尊厳のある生活を求めてデモに参加した。この社会運動はチリの保守的・家父長的な社会構造を大きく揺るがし、やがて2021年に36歳という世界で最も若いガブリエル・ボリッチ大統領誕生に結実する」、「目出し帽に鮮やかな花をつけてデモに参加する母親や、家父長制に異を唱える4人の女性詩人、先住民族マプチェの女性として初めて重要な政治的地位についたエリサ・ロンコンら多くの女性たちへのインタビューを交えながら、劇的に変わりゆく母国チリの姿をダイナミックかつ詩的な映像美で描きだす」、「政党主導のもとに行われてきた旧来の政治運動とここで描かれる運動が決定的に異なるのが、女性や若者たちが中心であること以外に、特定のイデオロギーやカリスマ的なリーダーによって引っ張られたものではなく、自然発生的に自らの生活・人権・尊厳を守りたいという人々が集い、社会構造を揺るがすうねりとなっていったことだろう」というものです。

   

 映画では、デモに参加した人たちが、こぶし大に割った石を警察の車両に投げるシーン、軍用車が水を撒いて市民の後退を促すシーン、火を放たれた警察車両が後戻りするシーン、催涙弾が左目に当たり視力をほとんど失った若い女性が語る言葉、道を埋め尽くした人々がジャンプしたり、フライパンやブリキ缶をリズミカルに壁に打ち付けたりしながらシュプレヒコールする様子、ガブリエル・ボリッチ大統領の就任演説で語った言葉「歴史的転換期を迎えた今を逃してはいけない。立ち上がれ。太陽はチリのために輝いている」など、印象的なシーンにあふれた映画でした。

   

 私はこの映画を観た後本社で、溜めていた日経新聞を読み、再びほとり座で「早乙女カナコ子の場合は」を観てから、午後8時から行われるホテルグランテラス富山での「藤井ひろひさ選挙報告会」に雨の中、出かけました。7時40分ほどに会場に入りましたが、すでにほぼ9割の椅子が埋まっていました。そしてテレビモニターに映し出された8時のニュースで藤井市長の再選がトップニュースで伝えられると、拍手が沸き起こり、その後は来賓の祝辞やウグイス嬢からの花束贈呈、藤井市長の挨拶と続き45分間ほどで終了しました。

   

 さて、翌日は新聞が休刊日だったので、本日の新聞で「富山市長に藤井氏再選」の記事を読みました。見出しの横には「投票率最低42.96%」とあり、本文には「2021年の前回選47.97%、17年47.84%を下回り市町村合併後で最低だった」とありました。19万人超が棄権したとも書かれていました。

   

 私は住民票を18歳の時に大学のある仙台に移し、選挙権を得た20歳の時からすべての選挙に出かけています。今回の選挙では、当社の18歳と19歳の社員に、投票に行くようにとスマホでメールしました。そんな私ですので「投票率最低42.96%」には愕然としました。そして映画「私の想う国」を思いました。独裁政権下でのチリと、ニューヨーク・タイムズ紙の「2025年に行くべき52カ所」に大阪とともに選ばれた富山市とは、経済・政治状況や治安状況が全く違いますが投票率42.96%はないでしょう。7月の参議院選挙では70%ほどの投票率でありたいものです。