2016.02.20

東日本大震災から5年

東日本大震災が発生してから来月の11日で5年が経過しますが、この大災害の復興は21年前の1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災の復興に比べ格段に遅れています。特に対照的なのは仮設住宅からの転出で、阪神では仮設住宅の入居者が10か月後の1995年11月にピークを迎え、震災から5年後の2000年1月14日には入居世帯がすべて解消しましたが、東日本では今も災害公営住宅の建設が続いていて、宮城県でプレハブ仮設住宅に暮らす避難者は、今年1月31日現在23,763人(宮城県公式ウエブサイト)となっています。さらに、東日本大震災では、自然災害の地震と津波に加えて明らかに人災の東京電力福島第1原発事故が発生したため、完全に復興するのはまだ何十年か先だろうと思われます。
さて、私はこの5年間に社内報のこのコーナーで、東日本大震災に関連するコラムを10回書いていました。2011年は、発生した月の3月に「東日本巨大地震」、4月に「東北地方のこと」、5月に「東北地方に旅しよう!」、6月に「3.11大震災とロータリーの元米山奨学生の活動」、そして7月に「フクシマ会津若松に旅して」と題して5ヶ月連続で書いています。翌2012年は3月に「3.11から1年が経って」、8月に「福島の子どもたち」の2回で、2013年はゼロ。そして2014年は3月に「再び東北を旅しよう!」、6月に「 “東北地方を旅しよう!”報告」、9月に「BCP完成間近」の3回でしたが、昨年は再びゼロでした。
読み返してみると、それぞれのコラムで何らかの形で支援活動を続けようという想いを語っていますし、「3.11から1年が経って」では、「日本人は忘れっぽい国民だといわれ、私自身もその傾向が強いが、2万人近くもの死者、行方不明者を出した東日本大震災は、死ぬまで絶対に忘れてはいけないと思っている。この大震災で亡くなった方々、被災されて厳しい生活を送っておられる方々のことを忘れることなく、自分の人生の責務は何か、その責務をどのように果たせばよいかを考えながら生きていきたい。」と殊勝に述べていました。この忘れてはいけないという想いの実行が、2014年5月30日〜6月1日の岩手県、宮城県の被災地への慰安旅行でした。この旅行について「 “東北地方を旅しよう!”報告」では、「今回の旅行の目的は達せられたと思うと同時に、今後も3.11東日本大震災を忘れてはいけないし、何らかの支援活動を続けなければいけないと強く思った」と書いています。  このように書いているのに、昨年は何もしていませんでした。本当に忘れっぽいと思うと同時に、「自分の人生の責務は何か、その責務をどのように果たせばよいかを考えながら生きていきたい」と偉そうに書いたのは一体何だったのかと恥ずかしい思いに駆られています。
先月、経営企画室BCP関係チームの出戸チームリーダーと防災セミナーに出席しましたが、「最近の災害に学ぶ〜命と社会を守る建設業の使命と責任〜」と題しての防災アドバイザー山村さんの話の中の次の2つが特に印象に残っています。最初は「BCP(事業継続計画)はもう古い。今はCCP(コミュニティ継続計画)である」でした。当社がBCPを策定したのは、コラム「BCP完成間近」に書いている通り「建設業を営むものの使命は、ふるさと富山を発展させるために構築物を造ったり維持修繕したりするだけでなく、ふるさと富山が大災害に見舞われた時すぐに復旧活動できるようBCPを作成することも大事な使命だと思った」に通じると思ったからです。これは、CCPの考え方であると感じました。二つ目は「安否確認訓練の前に生き残り訓練をせよ」でした。コラム「BCP完成間近」の最後は「大震災は明日にも起こるかもしれない。繰り返しBCPに基づいた訓練を行い、社員の頭と身体に災害時に具体的に自分がとるべき行動を染み込ませることも社長の仕事であると思っている」でしたが、当社が策定したBCPには、会社との連絡方法や手順については記載されていますが、災害が発生したら個人としてまずどうするかは記されていません。生き残っていなければ会社から安否確認があっても応えられるはずもなく、ましてや復旧活動に当たれるはずがありません。
産経新聞2014年3月10日の記事、生存率99.8%「釜石の奇跡」「津波てんでんこ」の教えの正しさ(都司嘉宣)に、『平均して週1時間を防災教育に充て、年3回防災・避難訓練を行ってきた岩手県釜石市。その訓練時に生徒たちに指導していたのは「大きな地震が起きたら、とにかく早く、自分の判断でできるだけ高いところへ逃げる」という「津波てんでんこ」「命てんでんこ」の教えでした。この教えに従った児童・生徒562人全員は、無事自らの命を守ることになり、その俊敏かつ的確な判断と行動は、これまで多くのメディアでも取り上げられています。』と記されています。
 東日本大震災から5年経った今年、当社のBCPを見直す年にしたいと思います。