4月13日に、富山新聞文化センターの寄付講座「現場の経営学:地域企業の経営者から学ぶ」が開講しました。これは、富山大学経済学部経営学科と富山新聞文化センター富山マネジメント・アカデミーの連携による富山大学経営学科経営学特殊講義として、今年度前学期に7月27日まで全15回、毎週水曜日の5限目に開催されるものであり、私は富山マネジメント・アカデミーの講師代表である中村哲夫さんの依頼で、5月11日の4回目の講座を担当することになりました。
中村さんは昭和17年生まれで、人文系の大学院での教育経験を活かし、上海の華東師範大学の客座教授として、新儒学という立場で「論語」と現代マネジメント学との接合を試みている歴史家ですが、中村さんとの初めての出会いは、2011年に北陸経済研究所の高齢者雇用調査で取材に来社された時でした。その時インタビューを受けた社員が、昨年の秋に瑞宝単光章を受章した田中正さんです。
この中村さんが2014年の8月に来社され、北陸の大学に通う大学生に、現場に根ざした経営のスペシャリストや県内の優良中堅企業の経営者を講師に迎え、企業の経営思想を理解し、富山の地域にとり中核となる人材育成を目的とした講座を実施したいと熱く語られました。そして、私に講師を引き受けて欲しいと言われるので、お引き受けすることにしました。
これが昨年の4月から富山新聞社内にある富山新聞文化センターで「富山マネジメント・アカデミー」として開講し、私は昨年6月13日(土)の第6回目に「自社の経営を語る」というタイトルで講義を行いました。
しかし私は、これまで富山経済同友会の課外授業講師派遣事業で、中学生に対して20回近く授業を行ってきましたが、大学生に対して行ったのは、かなり以前に富山女子短大で放課後に、家政科の学生数人に対して話したことがあるだけで、本格的な講義の経験はありませんでした。そこでこの講義では、パワーポイントで作ったスライドを使って、前半では当社の歴史、概要、業績の推移、そして施工実績や経営理念を話し、後半では、直前の6月10日に富山経済同友会の課外授業講師派遣事業として新湊南部中学校で行った課外授業「生きること、学ぶこと、働くこと」のスライドをほぼそのまま挿入して話しました。
中学生に対する私の課外授業のタイトルは、平成26年までは「学ぶこと、働くこと」でしたが、平成27年からは「生きること、学ぶこと、働くこと」と、「生きること」を加えています。それは、「新老人の会」を作った聖路加国際病院理事長日野原重明先生の言葉「いのちとは、自分の使える時間のことです」や「ただ生きるのではなく、どうよく生きるか、です」に共感を覚えたからであり、スタートのスライドは、日野原先生のこれらの言葉から始まっていました。しかし直近2回の課外授業では、「アンパンマンのマーチ」の歌詞「何の為に生まれて 何をして生きるのか 答えられないなんて そんなのは嫌だ!」を映し出すところから始まります。次に、バイキンマンとドキンちゃんを映しながら、中村天風の言葉「ばい菌一匹でも、目的無くこの世に出てきたものはない。」のスライドに移り、その後は日野原先生の言葉と続きます。
そこで富山大学での5月の講義は、最初に「アンパンマンのマーチ」の歌詞を映し出して、学生たちに「何の為に生まれて、何をして生きたいのか」と問いかけようと思います。その後は、中学生への課外授業でのスライドを大学生向けにアレンジして「学ぶこと」や「働くこと」について考えさせ、後半で、当社の歴史や経営理念、そして土木事業の重要性などについて話そうと考えています。
私はこの講義を単に、「企業の戦略や組織などの側面から、実際の経営活動において、経営者がどのように経営環境を見ながら、自社の経営状況を判断し、戦略や組織に関わる意思決定を行っているかについての講義」(寄付講座の趣旨)ではなく、学生たちに日本の将来を担う人間になってもらいたいという願いを込めた講義にしたい、そのためには、「何の為に生まれて、何をして生きたいのか」と考えさせることが大切だと思うのです。
今年のゴールデンウイークは、寄付講座の準備に時間が割かれ、ゆっくり出来ないことでしょう。