2025.01.24

趣味は読書

 わたしは、自分の趣味は仕事と読書と映画鑑賞だと思っています。映画鑑賞については、昨年の12月のコラム「126」で、昨年ほとり座で観た映画126本について書きました。読書については、昨年10月のコラム「読書の秋」と11月のコラム「井上ひさし」で書きました。

   

 「読書の秋」では、朝日新聞名物・名文記者の近藤康太郎さんの著書「三行で撃つ」について書き、「井上ひさし」では、古志の国文学館で開催された生誕90年 井上ひさし展で買い求めた「井上ひさし ベスト・エッセイ」について書いています。

   

 「読書の秋」で、「わたしは過ごしやすい秋が来たから読書しているわけではなく、暑さや寒さに関係なく一年を通して、何らかの本を読んでいることに気付かされました」と書いていますが、本は小さいころからよく読んでいました。今でも覚えているのは、小学4年生の時に読んだ石井桃子の「ノンちゃん雲に乗る」です。蓮町に住む友達の家に行くために乗った富山港線の電車の中で読み始めたことも覚えています。中学生の時は、読書感想文を書くために獅子文六の作品を読みました。

   

 わたしの読書好きは、幼稚園の頃、母が寝るときに本を読んでくれたことによると思っています。終戦後間もない頃でしたから、紙が茶色っぽい本でした。アンデルセン童話の人魚姫、マッチ売りの少女、みにくいアヒルの子、グリム童話の白雪姫、ヘンゼルとグレーテルなど、日本人の作品では、小川未明の赤い蠟燭と人魚、浜田広助のむくどりのゆめ、坪田譲二のつるのおんがえしなどでした。

   

 小学2年生のころ、教育実習生のおにいさんに「大きくなったら何になりたい?」と聞かれ、「作家」と答えたら、「サッカー選手だね」と言われ、違うんだけどな、と思ったことを覚えています。

   

 さて、今読んでいるのは、「井上ひさしベスト・エッセイ続 ひと・ヒト・人」、「中村天風の教えがマンガで3時間でマスターできる本」と、この本を本屋に買いに行ったときに、入り口に並べてあった、帯に「追悼 谷川俊太郎さん」とある詩人谷川俊太郎と歌人俵万智の対談「言葉の還る場所で」と谷川俊太郎の「詩選集1」、そして電子BOOKで読んでいる夏目漱石の「吾輩は猫である」です。

   

 「吾輩は猫である」は、読みだしてからふと左下の表示を見たら、351/2230 とあるではありませんか。名前はまだない猫と、この猫が飼われている家の主人とを中心として、その家に出入りする人たちや猫の仲間とのことが書かれていてなかなか面白いのですが2230ページもあるのには驚きました。読書好きの社員のTさんに「吾輩は猫である」を読んだことがあるかと尋ねたところ、彼も途中で挫折したとのことでした。妻に聞いたら「わたしは日本文学科卒業よ。読んでいますよ」と言われ、さすがだと思いました。

   

 「井上ひさしベスト・エッセイ続 ひと・ヒト・人」は、東西の作家や役者について井上ひさしが書いていて、これも読みかけです。でも、第2章のタイトルが、カナシイ夜は「賢治全集」で、わたしが最も好きな作家の宮沢賢治を取り上げていて、賢治について深く考察されています。冒頭部分に、オーストラリア国立大学の日本語科で教師のまねごとをした時に、「賢治はわたしの新しい聖書です」と、きっぱりという学生が何人もいた、と書かれていたのには驚きました。今、352ページ中の176ページ、北杜夫『高みの見物』まで読んでいます。最後に取り上げているヒトは、わたしが大好きな役者渥美清さんについての「渥美清とフランス座」です。わたしは本は最初から順番に読んでいくのですが渥美清となれば、中を飛ばして今夜読みます。

   

 本は紙で読むものだと思っていますが、電子BOOKの中の宮沢賢治の作品を見ていたら、賢治の作品は童話も詩もすべて読んでいると思っていたのに「さるのこしかけ」という見覚えのない作品が目に入りました。これも今夜読みます。

   

 電子BOOKでは、自由律俳句の俳人で、「分け入っても分け入っても青い山」が有名な種田山頭火や、「檸檬」の梶井基次郎、「夫婦善哉」の織田作之助、「堕落論」の坂口安吾など、それぞれ本を買って読んではいたのですが、今はどこにあるかわからない作品を読みました。そして初めて読んだのが、新見南吉の「おじいさんのランプ」、「ごん狐」、「最後の胡弓弾き」、「手袋を買いに」です。どれも心に残る作品で、電子BOOKを毛嫌いしてはいけないと思いました。

   

 電子BOOKは、スイッチを入れると「大人の書斎日本の名作300」と出てきます。

古志の国文学館で開催された生誕90年 井上ひさし展の最終日に再度訪れ、井上ひさしの本を21点、31,059円買い込みましたが、初日に2点買っているので23点になります。すべてベッドの横の紙袋に入ったままです。電子BOOKも井上ひさしも、いつ読み終えられるかは分かりませんが、毎日の晩酌の量を控えて、読書時間を確保することにし、人生を楽しみましょう。