2023.01.25

81+5

 81+5=86。これは去年1年間に観た映画の本数です。81は富山市総曲輪にあるほとり座で、5はMAX THEATER とやまでの2本と、サンシップと高岡の会場とインテックビルです。 昨年10月のコラムで、同じ作品を初めて2回観た「こちらあみ子」について書きましたが、今年初めてほとり座に行ったとき、帰り際にほとり座のスタッフの女性から、壁に貼り出された昨年1年間に上映されたすべてのチラシの縮小版の中でどれが一番良かったかと聞かれ、即「こちらあみ子」と答えました。

      

 10月のコラム執筆後にも多くの映画を観ました。古い映画では、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ共演の「ひまわり」、地下鉄パリ駅で主人公の5歳の女の子が「ミシェル、ミシェル」と叫ぶ声が耳に残った「禁じられた遊び」、フランスの個性派俳優ジャン・ポール・ベルモント主演の「勝手にしやがれ」や「気違いピエロ」などを観ました。

      

 アフガニスタンで銃撃で亡くなった中村哲さんのドキュメンタリー「荒野に希望の灯をともす」では、医師でありながら土木を勉強し灌漑用水を建設したことを知り、素晴らしい人であったと尊敬の念を深めました。

      

 「LOVE・LIFE」は、連れ子が風呂で溺死したことから人生が変わっていくという物語で主演の木村文乃の演技がとても良かったです。

      

 「1640日の家族」は、生後18カ月で里子となり受け入れ先の両親や兄弟と幸せに暮らしていたシモンでしたが、4年半を過ぎたころ実父が一緒に暮らしたいと申し出るというストーリーで、実父とシモンが仲良く歩いていくラストシーンが印象的でした。同じ日の午後に観た「グッド・ナース」は、巧妙な手口で患者を行く先々の病院で突然死させる男性看護師と、彼と公私ともに心を許していた女性看護師が、彼に不信を抱いて自白させる場面に、なるほどと感心しました。

      

 12月にはほとり座で、前述のジャン・ポール・ベルモントの映画など11本観ました。今年観た映画で3本の指に入ると日記に書いたのが「ギルバート・グレイブ」で、18歳の知的障害の弟と過食症で超肥満の母親を世話する雑貨屋で働くギルバート、彼がトレーラーで祖母と旅する自由な娘に出会い、自分の人生を見つめ直すことになるという映画です。そして12月30日に観た「キンキーブーツ」も1年の最後を締めくくるにふさわしいミュージカル映画でした。父親の突然の死により倒産寸前の靴工場を相続した男が、女装でパフォーマンスを行う男性のために、かかとが折れないハイヒールを作り成功するという話。日記には、「予想していたよりずっと面白かった。ハラハラドキドキした」と書いていました。

      

 なぜこんなにも映画にはまるようになったのかですが、長男が営む民芸店「林ショップ」で週に1回店番をしてくださる女性が、ほとり座のプログラム編成責任者で、翌月のスケジュール表を送ってくださるからです。そこに書かれている作品の概要を読み、観たいと思う映画に〇をつけ観るのですが、めったに観なければよかったという作品には当たりません。

      

 映画は、時代を超え、国や地域を超え、常識を超え、性差も超えます。何か暗いと感じながら観ている映画でも、ラストがハッピーだとホッとします。映画が終わり、会場が明るくなって現実に戻るときの充実感を味わってみませんか